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アメリカの1セント硬貨(ペニー)が12日、232年の歴史に幕を下ろした。同日午後、フィラデルフィア造幣局で財務省の高官の立ち会いの下、最後のペニーが鋳造された。製造コストの高騰や電子決済の普及を背景に以前から製造中止の可能性が指摘されていたが、ついに実現した。製造は停止されるものの、流通中のペニーは引き続き法定通貨として使用できる。

1793年に誕生したペニーには当初、「自由の女神」が刻まれていたが、1909年以降は第16代大統領エイブラハム・リンカーンの肖像に変更された。素材も時代とともに変化している。発行当初は純銅製だったが、戦時中の銅不足を受けて1943年には1年間だけ亜鉛メッキ鋼製に。その後も改良が続き、82年以降は外見こそ銅色ながら、亜鉛97.5%、銅メッキ2.5%の割合となっていた。近年は硬貨1枚の製造コストが3セントを超え、流通面での存在感も薄れていたことから、ペニー廃止論は10年以上続いていた。ついに今年2月、トランプ大統領が製造停止を正式に決定した。
ペニー廃止の影響は?
現在流通しているペニーは約2500億枚に上るとされるが、すぐに市場から姿を消すわけではない。今後は徐々に回収されつつ、現金取引の場面でごくまれに利用され続ける見通しだ。最終的には、現金決済の端数は5セント単位で処理されるようになるとみられる。切り上げによるインフレへの影響を懸念する声もあるが、その規模はごくわずかにとどまると予想されている。
影響が生じやすいのは、銀行口座を持たない人々や、デビットカードやクレジットカード、デジタルウォレットを利用できない立場の人々だ。低所得層を中心に現金利用が多い傾向があり、ペニー廃止による負担は相対的に大きくなる可能性がある。
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