2025年11月21日 NEWS DAILY CONTENTS

NY・マンハッタンから2時間「日本酒のテーマパーク」知ってる? 五感で楽しむ酒好き歓喜のスポットに行ってきた

ニューヨークのハドソンバレーにある「獺祭ブルー 酒 ブリュワリー(Dassai Blue Sake Brewery)」

マンハッタンから車や電車で約2時間、噂には聞いたことがある人も多いかもしれないが “日本酒のテーマパーク” があるのをご存知だろうか? 日本を代表する日本酒ブランド「獺祭」(旭酒造)がアメリカで販売する「獺祭ブルー」が製造されている場所。一般向けにも開放されており、足を踏み入れるとそこは日本酒好きが “ストーリー”から学べる空間となっていた。

ニューヨークのハドソンバレーにある「獺祭ブルー 酒 ブリュワリー(Dassai Blue Sake Brewery)」

都心部から少し離れたハイドパークに位置する「獺祭ブルー 酒 ブリュワリー(Dassai Blue Sake Brewery)」は、2023年9月にオープンした蔵元。アメリカで存在感を高めている獺祭ブルーの製造が行われているほか、酒蔵ツアーやワイングラスでのテイスティング、そしてこれまでの獺祭ブルーの軌跡が堪能できるミュージアムが併設されている。

マンハッタンから車や電車で2時間、広い敷地内には酒蔵やテイスティングルーム、そしてミュージアムが併設

日本では当たり前の光景として、日々の生活に溶け込んでいる日本酒だが、アメリカでは「異国の文化」。彼らにどうプレゼンテーションを行っていくかがキーとなっており、特に日本酒ブームが高まるニューヨークでは日本酒フェスの開催や日本酒バーも増加し、獺祭ブルーはそんな文化を見て、飲んで、体感できる唯一無二の施設をオープン。テーマパーク感覚で日本酒を楽しめるスポットとして親しまれている。

獺祭ブルーの日本酒にかける思いが垣間見えるミュージアム
旭酒造の社長・桜井 一宏さん

◆ 本物の「どぶろく」を試飲

ブリュワリーがあるハイドパークは、所狭しとビルが並び、さまざまな香り(笑)が立ちこめるマンハッタンに比べ、緑が多くとにかく空気が美味しいエリア。到着すると、まずは酒蔵ツアーからスタートする。ツアーは全部で2種類で、35分の蔵見学を行う「標準ツアー」と製造エリアを詳しく見る「生産ツアー」がある。

「麹室(こうじむろ)」での麹づくり作業の光景

生産ツアーでは麹室、洗米・蒸米の工程、発酵タンク、瓶詰め・出荷の準備エリアなど、製造の裏側をじっくりと見ることができ、発酵タンクエリアでは発酵中のもろみ(巷ではどぶろくの愛称で親しまれている)をタンクから汲んでもらい、試飲することができる。発酵度合いの違うもろみもいただく貴重な経験ができ、「これがあの瓶に・・・」と考えると、テイスティングが待ちきれない。

発酵タンクから「もろみ」を汲んでもらう

◆ 目の前に注がれる “完成した酒”

次はお待ちかねのテイスティング。「精米歩合」(酒造りに使う米の外側をどれだけ削ったかを表す指標)で分類されたType 50、Type 35、Type 23、そしてスパークリングの4種類を、ワイナリーでのテイスティングのように「グラス」で飲むのが特徴。おちょこで飲む日本の一般的なスタイルと違い、香りを最大限に引き立たせてくれる。

酒蔵ツアーで実際に製造工程を見た後、目の前に出来上がった酒を注いでもらえるというのは、なんとも至福のひとときだ。

4種の獺祭ブルーが試飲でき、軽食とともにテイスティングを堪能

このテイスティングが付いて、標準ツアーが26ドルから、そして生産ツアーが51ドルというのは、ニューヨークのバーで日本酒を飲むことを考えるとかなりお手頃な価格。酒好きと過ごす休日の選択肢として、リストに入れておきたいスポットだ。

◆ まさに日本酒のテーマパーク

またテイスティングルームの横には、これまで獺祭、そして獺祭ブルーが歩んできた軌跡がミュージアムのように展示されており、獺祭ブルーが師である獺祭をライバルに、アメリカ挑んでゆく思いを込めたスローガン「青は藍より出でて藍より青し」の背景や、同社の歴史や香りの秘密について堪能することができる。

「ALL ABOUT AROMA」香りについての展示・説明も
獺祭ブルーで働く杜氏の制服

また、杜氏の制服や手にボトルを持った新世紀エヴァンゲリオンの巨大フィギア(映画「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」では登場キャラクターの葛城ミサトが獺祭好き)なども並んでおり、日本酒をコンテンツのひとつとして楽しめる工夫も目白押し。

手には獺祭ブルー、新世紀エヴァンゲリオンの巨大フィギア

五感を使って日本酒を楽しみ尽くすことができる「獺祭ブルー 酒 ブリュワリー」。営業時間やツアーの詳細は時期によって異なるため、詳細は公式サイトにて。

取材・文・写真/ナガタミユ

                       
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