2026年1月6日 COLUMN 山田順の「週刊 未来地図」

山田順の「週刊:未来地図」「資産フライト」(キャピタルフライト)再び。 この予算では円安は止まらない!(上)

 高市政権が発足して1カ月あまり。ドル円は147円から157円になった。ドルに対してだけではない。円はユーロをはじめとする主要通貨に対して軒並み下落を続けている。
これは「円安」と言うより「円弱」であり、その原因は日本の財政悪化と国力(経済力)の低下だ。
 そのため、投機筋の円売りはもちろんのこと、静かに「資産フライト」(キャピタルフライト)が進んでいる。投資家、一般個人による円離れがさらに進めば、円安は止まらなくなる可能性がある。
 *今回の原稿は、「Yahoo!ニュース」に寄稿したコラムの拡大、詳細版です。 

*写真:首相官邸ホームページより

大型バラマキ補正予算に市場が警告を

 それにしてもなぜ、高市早苗首相を誰も支えようとしないのか? せっかく誕生した初の女性首相の“暴走”を、ただ冷ややかに見ているだけなのか? 明らかに日本を衰退させる「積極財政」(バラマキ)に歯止めをかけようとしないのか?
 このままでは、円安による“亡国”は止まらない。
 すでにその兆候は表れていて、市場は警告を発している。政府が21.3兆円という大型の補正予算を公表した11月21日、10年国債の利回りは2008年6月以来約17年半ぶりの高水準に達し、ドル円も157円台後半と1月中旬以来の安値を付けた。
 これは前から言われてきたように、経済対策と称する政策(子供1人2万円給付、お米券配布、電気ガス料金補助なと)が、ほぼバラマキだからだ。給付金、補助金で国民生活は一時的には助かる。しかし、それだけのこと。しかも、円安が進めば、その効果は吹き飛ぶ。

放漫積極財政で「トラスショック」の二の舞に

 高市政権は、2022年に英国で起こった「トラスショック」の二の舞になるのでは見られてきた。財源が足りなければ国債発行で賄うなどという財政規律無視の放漫な姿勢が、危惧されたからだ。
 リズ・トラス政権では、財源の裏付けのない大型減税政策が市場の失望を呼び、ポンド相場は37年ぶりの安値を記録。国債市場も崩壊寸前となり、放置すれば大規模な「資本逃避」(キャピタルフライト=資産フライト)が起こりかねなかった。
 そのため、トラス首相は政策の大半を撤回せざるを得なくなり、その責任を取って辞任した。このまま、高市首相が野放図な積極財政に突っ込めば、ここまで進行してきた資産フライトは加速する。

「より破壊的な資本逃避が続いて起きる」と警告

 11月21日の「ブルームバーグ」の記事『日本国債と円、破壊的な資本逃避を警戒-トラス危機を想起とドイツ銀』は、ドイツ銀行の外国為替調査責任者ジョージ・サラベロス氏の指摘により、資産フライトが加速することを警告した。
 サラス氏は「政府・日銀の低インフレへのコミットメント(積極的関与)に対し、国内の信頼が失われれば、日本国債を購入する理由が消失し、より破壊的な資本逃避が続いて起きる」とし、「日本市場のより広範な資本逃避の兆しを数週間注視していく」と述べている。
 すでに資産フライトはじょじょに拡大して、今年に入ってからは加速している。これが、円安の原因の一つであるのは言うまでもない。

この続きは1月8日(木)に掲載します。 
本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

山田順の「週刊 未来地図」その他の記事

山田順プライベートサイト

RELATED POST