『ちょっと得するNY20年主婦のつぶやき』(19)人は思っている以上に「外側」を見ている、外見で損をしないための整え方

2026年は「午年」。一般的に、午年は行動力・変化・挑戦・移動のイメージが強い年とされています

子どもたちが日本語補習授業校に通っていた頃、私のアメリカ生活が長いことを、初対面のお母さんたちから見抜かれてしまうことがよくありました。おそらく、服の選び方や着こなしが、知らず知らずのうちに“アメリカ的”になっていたからかもしれません。言葉を交わすよりも先に、外見が私の時間の積み重ねを語っていたのだと思います。

見た目は既にメッセージ
そういえば、日本人駐在員の多い地域に長く住んでいたことがあります。言葉を交わすより先に、その人の服装から「アメリカに来てどのくらいか」が、なんとなく伝わってくることがあったのです。日本の街並みに映える凛とした装いから、少しずつこの土地が「生活の場」として体になじみ、ニューヨークの日常に溶け込むスタイルへと変わっていきました。それは「良い悪い」ではなく、その土地との距離感が少しずつ変わっていく、ごく自然な過程だったと思います。
外見は、その人が今、どんなリズムで生きているかを、静かに映し出しているのかもしれません。
外見は、意図せずとも常に何かを伝えています。学校でも、ビジネスの場でも、言葉より先に表情や姿勢、身だしなみが、相手との関係の入口になることがあります。それは能力や中身の問題ではなく、限られた情報の中で行われる「第一印象」という自然な反応。だからこそ、服は単なる好みではなく、社会的な言語の一つといえるのではないでしょうか。
「見え方」が扱われ方を変える
商品運搬時の破損の多さに困っていた、自転車販売会社 VanMoof(ヴァンムーフ) のエピソードをご紹介します。
ヴァンムーフは解決策として、運搬用ダンボールのデザインを変更しました。中身は自転車のまま、箱の外側に大型テレビのイラストを描き、あたかも高価なテレビを運んでいるかのように見せたのです。すると、破損率は約80%も減少しました。
中身は何一つ変わっていません。変えたのは、ただ「見え方」だけ。人は無意識のうちに、「大切そうに見えるもの」を丁寧に扱う生き物なのだと、この話は教えてくれます。それは物に限らず、人に対しても、そして自分自身に対しても、同じことがいえるのかもしれません。
見た目は、心の足場になることがある
認知心理学では「エンクローズド・コグニション(Enclothed Cognition/着衣認知)」という理論があります。「身に着けている服が、思考や態度に影響を与える」といった考え方です。
身だしなみが整っていると、脳は自分自身を「信頼できる存在」「大切に扱うべき存在」と認識しやすくなるそうです。つまり、服は単なる気分の問題ではなく、自分をどう扱うかを脳に教えるサインで、鏡に映る自分の姿がきちんとしているほど、自然と自己信頼度が高まり、行動も安定していくとされています。身だしなみを整えるのは、誰かに見せるためではなく、「自分を丁寧に扱う姿勢そのもの」なのですね。

こうした視点で見ると、アメリカでは近年、空港や機内での服装のカジュアル化が進む一方で、公共空間としての「品位」や「ふるまい」を見直す動きも出てきています。イギリスのオンライン新聞、インディペンデント(The Independent) に掲載された記事、「The new rules of dressing up for the plane」でも、服装がマナーや行動意識と無関係ではないことが指摘されています。何を着ているかは、その場をどう受け止め、どんな姿勢でそこに身を置こうとしているのかを、言葉より先に、静かに表しているのかもしれません。
新しい一年を迎えるにあたって
ふたりの男の子を育てる毎日は、想像以上に体力と声量が鍛えられます。気がつけば、呼びかけや指示が、少し体育会系になっていることも。だから新しい年は、もう少し肩の力を抜いて穏やかな母でいられたらと思っています。そのための小さな一歩として、毎日の装いを静かに整えてみようと思います。
【今日のひとこと】
「身なりは、言葉より先に届く」
2026年を、どんな自分で過ごしたいか、少し想像してみてください。そして、その姿に近づくために、今日の身だしなみからできることを一つ選んでみてはいかがでしょうか。
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