Z世代の旅行者が記録的な数で日本に押し寄せている。アメリカンエキスプレスの旅行データによれば、Z世代とミレニアル世代の日本旅行への予約は2019年以降1300%急増。その多くが、自国ではもはや見出せないと考える「日常的な礼儀正しさ」を求めているという。時間通りに到着する電車、街にはごみひとつなく、見知らぬ人に対しても礼儀正しい・・・日本は「行きたい国」から「理想のライフスタイル」へと変化した。なぜ今、アメリカの若い世代を惹きつけるのか。5日付のフォーチュンが分析している。

ソフトパワーを輸出する文化大国
ここ数十年、日本は経済大国から、たまごっち、ポケモン、NARUTO などを輸出する文化大国へと徐々に変化してきた。ハーバード大学の政治学者、ジョセフ・ナイ氏は、この種の影響力を「ソフトパワー」と呼ぶ。これは軍事力ではなくアイデアや美学、エンターテインメントに基づく静かな魅力で、分断や混乱が続くトランプ大統領のアメリカとは対照的に映る。
「フランスもの」から「日本もの」へ
Z世代の憧れの地として台頭する日本は、ステータス観の変化も映し出している。日本通の著名ブロガー、ノア・スミスさんは「かつてアメリカで高級感を定義していた『フランスもの』が、今ではミシュラン星付きのおまかせカウンターからミニマルな家庭用品に至るまで『日本もの』がその地位を占めている」と話す。東京はミシュラン星付き店の多さでも知られるが、若者が称賛するのは高級料理よりも、コンビニのおにぎりや卵サンドといった手頃で安定した品質の商品だ。
不安なアメリカにおける秩序への憧憬
Z世代の日本への憧れはポップカルチャーだけではない。フォーチュンが実施したインタビューで若い旅行者たちは、日本を「未来」のように感じられる国と表現する。便利かつ快適な新幹線、汚れひとつない地下鉄のホーム、アメリカのレストランよりも清潔なコンビニエンスストアがある場所なのだ。地球上で最も人口密度の高い都市の一つである東京は、公共のごみ箱がほとんどないにもかかわらず驚くほど清潔だ。人類学者のメリー・ホワイト氏はこの現象を「(日本人の)内面化された責任感の表れ」と指摘する。これは、礼儀正しさは任意で、公共空間が“戦場”と化すこともあるアメリカ社会とは著しく対照的だ。
さらに日本は犯罪や公共交通の安全性で世界上位に評価され、夜間の一人歩きも安心できると受け止められている。一方で、日本の長期経済停滞などの現実は見落とされがちだとの指摘もある。それでも、日本はZ世代にとって秩序と安心を象徴する存在となっている。
魅力はポップカルチャーと食文化
日本の魅力は道徳観というより、ポップカルチャーや食文化にあるとの調査結果も出ている。アメリカンエキスプレスの調査によれば、Z世代とミレニアル世代がメディアの影響を強く受け、必ずしも道徳哲学に左右されないことが一貫して示されていた。回答者の大半が「セット・ジェッティング」と呼ばれる現象—テレビ番組・映画・SNSコンテンツに触発されて旅行先を決めたと回答。アニメ、J-POP、ゲーム、ファッション、インスタ映えする街並みが日本を親しみやすく視覚的に際立たせ、それ自体が強力な魅力となっていることが判明している。Z世代とミレニアル世代の旅行者のほぼ半数が特定のレストランやフードフェスティバルを目的に旅行全体を計画しており、日本の高品質なコンビニ食品、ラーメン、寿司、ミシュラン級レストランの評判は、彼らの欲求に完璧に合致している。
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