ニューヨーク州保健局(DOH)は8月5日、末期患者が医師の処方した薬を自ら服用して死を選ぶ「医療幇助死法」が同日施行されたと発表した。対象はニューヨーク州在住で、余命6カ月未満と診断された患者。

本人が自発的かつ十分な説明を受けたうえで、医療幇助死のための薬を求める権利を認め、終末期の選択肢を広げる。キャシー・ホークル知事が今年2月6日に署名して成立していた(本紙2月12日号で既報)。
薬は患者自身が服用
ニューヨーク州は制度の悪用や不適切な適用を防ぐため、複数の安全策を設けた。患者はまず、口頭での要請を映像または音声に記録し、さらに証人二人の立ち会いの下で書面に署名しなければならない。主治医と相談医の双方が末期の病気または症状にあり、本人に意思決定能力があると判定しなければならない。加えて、心理士または精神科医による精神面の評価も義務付ける。処方せんが出されてから薬を受け取るまでには5日間の待機期間があり、薬は患者自身が服用する。
対応拒んでも法的責任の対象にはならず
患者の死亡により金銭的利益を得る可能性がある人は、証人や通訳を務められない。主治医には緩和ケアやホスピスを含む実行可能な代替策と適切な治療法を、患者に対して十分に説明する義務がある。医療幇助死への参加は任意で、医師や薬剤師、その他の医療従事者らは、合理的かつ誠実に協力した場合だけでなく、対応を拒んだ場合も、政府機関による法的責任や処罰、懲戒の対象にならない。
制度の誤用と保護措置を徹底
DOHのジェームズ・マクドナルド局長は、終末期医療の判断は極めて個人的なもので、医師や家族、身近な人と相談しながら個別に行うべきだと説明。DOHは医療機関と医師向けの指針や報告要件案を整備し、一般向け情報と専門家向けガイダンスを掲載した専用ウェブサイトMedical Aid in Dyingも開設した。尊厳と安らぎを確保すると同時に制度が誤用されないための保護措置を徹底する。
なお、ニューヨーク州では、医師が致死薬を注射・点滴する「積極的安楽死」は認められていない。
日本の現状は?
日本では医療幇助死は合法化されていない。一方、延命治療の差し控えや中止は、本人の意思を尊重し、医療・ケアチームが慎重に判断した上で行われている。ただし、根拠となる法律はなく、厚生労働省のガイドラインに基づく運用にとどまるため、患者の意思がどこまで尊重されるのか、医療従事者がどのような場合に法的責任を問われるのかが明確でない点が課題となっている。
















