連載681 日本と同じ道を歩むのか?
人口減少で中国の「失われる10年」が始まった!(上)
1990年以来の低成長に陥った中国経済
新型コロナの変異株「オミクロン」の出現で、世界は戦々恐々としている。NYダウは暴落し、日経平均も大幅下落。世界中の国々が、いま再び国境を閉ざそうとしている。
しかし、今日までの世界経済を見ると、もっとも深刻と思えるのが、中国経済の減速だ。
先月、10月18日に発表された2021年7~9月期の中国の実質GDP成長率は4.9%。10~12月期は、さらに低下して4%前後になるとの見方が大勢となっている。
中国の経済成長率が5%以下になることなど、この四半世紀、1990年以来、聞いたことがない。いくらコロナ禍とはいえ、パンデミック前の7%近い成長率からは信じがたいことだ。
実際、中国企業の実績も大幅に悪化している。ブルームバーグなどの経済メディアが伝えるところでは、「騰訊」(テンセント)の増収率は2004年の株式公開以来最低を記録し、「百度」(バイドゥ)は広告収入が落ち込み、オンラインデリバリーの「美団」(メイトゥアン)は注文の伸び率が鈍化、「阿里巴巴」(アリババ)は本年度の増収予想を下方修正している。
このように、中国経済は明らかに減速している。そして、その象徴的出来事として、今夏以来、報道が過熱しているのが、不動産最大手「恒大集団」(エバーグランデ・グループ)の不良債権問題だ。
中国経済を減速させた4つの要因とは?
現在、経済メディアは、中国経済の減速の要因を4つ指摘している。
1番目は、言うまでもないが、コロナ禍の影響で消費が落ち込み、生産が縮小したこと。ゼロコロナ政策を取った中国では、度重なる徹底したロックダウンの影響が、他国よりもはるかに大きかった。
2番目は、石炭不足などに端を発する電力不足問題。中国では電力供給が逼迫し、生産の中断・停止に追い込まれた企業が相次いだ。
3番目は、工業用の原材料費の高騰。原油価格もそうだが、世界的に工業用金属、電子部品、建材、セメントなどが高騰し、企業収益が大きく落ち込んだ。
そして、4番目が、直接的な引き金となった「恒大集団」の不良債権問題。一時期、デフォルトが囁かれたときは、上海株、香港株が暴落した。
以上は、これまで起こったことから、要因をまとめたにすぎないが、もっと懸念しなければならい問題が、いまの中国経済にはある。それは、習近平政権が、事実上の経済成長の引き締め策、抑制策に転じたことである。
(つづき)
この続きは1月10日(月)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。 ※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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