2025年2月12日 DAILY CONTENTS NEWS 『夢みたニューヨーク、住んでみたら?』 COLUMN

連載『夢みたニューヨーク、住んでみたら?』Vol.8 アメリカのバレンタインは、男性が頑張る日

ニューヨークでの生活では驚きが「スタンダート」と化している。筆者は27歳、この夏憧れのニューヨークにやって来た新参者だ。日本(神戸)で人生の大半を過ごしたせいか、いちいちビックリするようなことが毎日のように起こるので、文化の違いやカオスな出来事を中心にポップにつづっていくことにした。

〜 バレンタイン迷子、ここにいます 〜

今週の金曜日は、ニューヨークで過ごす初めてのバレンタイン。先日、友人に「気になってる人にチョコ渡そうかな〜」と相談したところ、「なんであんたから渡すの? 基本は男性からやで」と言われ、「え〜でも気持ちだけでもダメかな? 花はどう思う?」と続けて言うと、友人からは「渡したかったらいいと思うけど」の一言がかえってきた。

そう、ニューヨーク(アメリカ)のバレンタインは、女性ではなく、男性が頑張る日なのだ。日本のバレンタインは、完全に女性が鍵を握っているので、2月に入るとそんな女性たちにチョコレートを買ってもらおうと、各百貨店やスイーツショップは総力をあげて、あんな企画やこんな企画を使ってアプローチをかける。

そしてそんな熱量が高い女性たちが集まることから、近年は「自分のご褒美に」「推し活にも」(※推しているアイドルのカラーなどを模したスイーツを食べたりあげたりすること)といったトレンドも強まり、もはや矛先が男性にすら向かなくなってきているな、とも年々感じていたし、そこに加えて「友チョコ」「会社の人チョコ」といった文化もあるので、日本のバレンタインは「ロマンティック」とはかけ離れていると言っても過言ではない。

そんな日本からやってきた新参者は、今年からバレンタイン商戦のない街で、男性からのチョコレートのような甘い贈りものを待つことになりそうなのだが、正直戸惑っている。だって5番街のZaraに行くと、形違いの真っ赤なドレスが並んでいて、ショーウインドーでは今にも「Be Mine」と言い出しそうなピンクやリボンをまとったマネキンが微笑んでくる。街を歩いていると、ついに完全なる「バレンタイン迷子」になってしまった。

ポリスステーションに「すみません。バレンタイン迷子なのですが、行き先を教えてもらえますか?」と言ったら助けてくれるだろうか? 冗談はさておき、ニューヨークで初めてのバレンタイン、肩肘張らずに楽しんでみようと思う。

著者のプロフィール

ナガタミユ(Miyu Nagata)エディター/ダンサー

兵庫県出身の27歳。幼少期に観た「コーラスライン」をきっかけに舞台芸術の世界にどっぷりハマって以来、20年以上踊り続けている。また、日本の出版社で編集者として活躍したのち「書いて、踊る編集者」としてさらなる飛躍を遂げるため、2024年8月から拠点をニューヨークに移す。

関連記事『夢みたニューヨーク、住んでみたら?』

Vol.1 ニューヨーカーは、なぜブックカバーを使わない

Vol.2 居酒屋デートの概念がない街

Vol.3 遅延だらけのサブウェイを乗りこなすコツ

Vol.4 街にあふれるレディファーストな男性たち

Vol.5 アメリカには存在しない便利アイテム

Vol.6 日本のトイレにあったアレ

Vol.7 最近よく耳にする「ソーバー」という言葉

RELATED POST