皆さん、今週もお疲れさまでした。今週木曜日は、Bostonに行ってきました。やはり、『学生の街』、『ベンチャーの街』Bostonは、活気に溢れていていいですね。季節柄かもしれないですが、常に“新たな芽”が出てきそうな息吹を感じ、常に“リフレッシュ”した気分になります。
今回印象に残ったのが、「MassChallenge」というアクセラレーターです。2009年に設立されたこの非営利団体(NPO)の特徴は、スタートアップに対して“株式を取得せずに支援を行う”という点です。このアプローチにより、起業家たちは自らの事業に対して出資や持分を渡すことなく、メンタリングや資金調達支援、ネットワーキングといった恩恵を享受できています。ここ16年あまりで、世界中で2,300社以上のスタートアップを支援し、累計で数十億ドルの資金調達を実現、雇用創出にもおおいに貢献しています。それはBostonだけでなく、海外でも同様で、例えばMassChallenge Switzerlandでは、2016年以降、950社以上を支援し、累計$2B以上の資金調達を実現、さらに6万人あまりの雇用創出に貢献しています。同団体では、フィンテックやクリーンテック、ヘルスケアなど業種特化型のプログラムを展開していますが、スタートアップに対し、金融機関や製薬企業との連携を通じた実証機会を提供している点も大きな特徴かと思います。環境分野では、持続可能な農業、再生可能エネルギー、食品廃棄物削減などの課題解決を目指す企業が多数育っており、世界的課題である気候変動に対しても一翼も担っています。このように、①株式を取得しない、②(プログラム卒業生を含めたメンバーによる)豊富なサポート機会の提供、③さらには実証機会の提供などを通じて、スタートアップ・エコシステム“インフラ”としての意義をおおいに感じました。
今週も、関税問題で市場はおおいに揺れましたが、こちらに住む“外国人”として、生活においても、政治による影響を感じるニュースがいくつかありました。まず、在ニューヨーク日本国総領事館からも注意喚起がありましたが、外国人は国土安全保障省(DHS)が発行する登録証明書(I-94、就労許可証(EAD)、グリーンカード等)を常時携帯する義務が生じました(ちなみにこれ自体は、日本でも、“外国人は常に在留カードやパスポートを携帯する義務”がありますので、日本と同等の基準かとは思いますが。。。)。また、学生に関しては、『政治的思想を理由に学生ビザ取り消し 全米の留学生、国外追放に怯える』という記事もありました。実際に3月時点で既に800人あまりが学生ビザを取り消されており、そもそも“言論の自由”をもとめてアメリカにジャーナリズムの勉強をしにきている学生もいますし、また学生ビザという短期的な属性もあり、市民同様に言論の自由は保障されているものの、裁判を通じての権利保障がなされづらいということも外国人留学生の立場を難しいものにしていると思います(逆に、日本ではこのようなケースは極めて珍しいようです。留学生が少ないという要素もありますが。。。)。
大学自体へも含めて、これらの変化は、Bostonのスタートアップ・エコシステムにも影響をあたえると思いますが、まだまだアメリカのダイナミズムは変わらないでしょうし(そもそもその意欲をもった人たちであふれているし)、この“逆風”から次はどのような“新たな文化”が出てくるか、非常に楽しみですね。
今朝は、なんと雪でした。この“冬”は、寒の戻りがなかったので、ちょっと気になっていたのですが、これで少しほっとした気分です(ちなみに、まだカナダのスキーも開いてますしね)。まあ天候もこんなもんですし、一喜一憂せず、自分のペースで過ごすことが重要なんでしょうね。では、引き続き良い週末をお過ごしください。
代表 武田 秀俊
今週の1枚

こちらのNPOの強さ。
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