トランプ政権が、ワクチンと自閉症を巡る大統領令を早ければ来週にも出すことを検討している。匿名の関係者によると、トランプ氏が自閉症の原因をさらに調べるよう求めたことが背景にあり、内容は自閉症研究と小児ワクチンの接種日程に重点を置く見通し。ただし、範囲や時期はまだ確定しておらず、変更される可能性もある。複数のメディアが8月7日、伝えた。

大統領令の内容によっては、行政手続き上の不具合や科学的根拠を巡り訴訟になる可能性もある。写真はイメージ(photo: Unsplash / Nathan Anderson)

トランプ氏は、ワクチン接種に批判的なロバート・F・ケネディ・ジュニア(RFK Jr.)厚生長官ら政府高官に安全性の調査を要請してきた。政権は2025年にも、米疾病予防管理センター(CDC)に自閉症とワクチン接種の関連を調べるよう指示。今回の動きは、両者の因果関係を否定してきた科学界の合意と対立する。

ケネディ厚生長官は因果関係に固執

ケネディ氏がワクチン接種と自閉症の関連に固執する背景には、医薬品業界や政府規制機関への強い不信感がある。自閉症の診断数と小児ワクチンの接種数が同時期に増えた点を重視し、既存研究には利益相反や検証不足があると主張。反ワクチン情報を発信してきた団体Children’s Health Defenseを率い、この問題が自身の活動の中心になった。大規模研究で因果関係が否定されても、特定のワクチンや接種の組み合わせは十分調べられていないとして、再検証を求め続けている。ただし、相関関係は因果関係を意味せず、世界保健機構(WHO)や米小児科学会は科学的根拠がないとの立場だ。

WHOと専門家は因果関係を否定

自閉症は出生前の脳の発達に端を発し、遺伝や環境など複数の要因が関わるとされる。アメリカの子ども250万人超を対象にした最新の大規模研究でも、2歳になる前の麻疹・流行性耳下腺炎・風疹(MMR)ワクチンの初回接種時期と、その後の自閉症診断との関連は確認されなかった。過去に関連を主張した研究も、データの不備などを理由に専門家から否定されている。

かかりつけの小児科医に相談を

専門家は、ワクチンの安全性と有効性は長年の科学的証拠に支えられていると強調。接種率の低下は、麻疹など感染症の再流行につながっているとして、推奨日程に沿った接種を呼びかけている。また、予防接種が重症化や死亡を大きく減らしたため、感染症本来の深刻さが忘れられがちだとも指摘している。保護者には、SNS上の誤った情報に頼らず、かかりつけの小児科医や米小児科学会(AAP)から最新情報を得るよう勧めている。

News Update 8/10. 2026

トランプ大統領は8月10日、に幼児のワクチン接種方針を大幅に見直す大統領令に署名した。主に小児向け予防接種の推奨数を減らし、接種の間隔を空けることを促す内容。主な要点は下記。

• 推奨ワクチンの削減→子どもに推奨するワクチンの対象疾病を、これまでの17〜18種類から11種類に縮小。これにより、インフルエンザや新型コロナウイルス、B型肝炎などのワクチンが一律の推奨対象から外れた。

• 混合ワクチンの分割接種の推奨→麻疹(はしか)、おたふく風邪、風疹のMMR混合ワクチンについて、1回でまとめて打つのではなく、3種類の単味ワクチンに分けて別々の日に接種することを推奨。

• 接種スケジュールの分散→一度に大量のワクチンを投与するのではなく、1回の量を抑えて期間を空けて接種するよう求める。

• 免除権利の保護→宗教的または医療的な理由によるワクチン接種免除の権利を侵害している州に対し、司法長官が法的措置を進めるよう指示。