2013年5月22日 NEWS

NYUの中国系研究員らがスパイ行為 米の最先端医療情報盗む

 米連邦捜査局(FBI)は20日、ニューヨーク大学(NYU)ランゴーン医療センターから米政府が資金提供をする研究の機密情報を盗み、中国にある競合大学と中国政府によって支援されている企業に渡したなどとして、同研究に携わった中国籍の大学関係者ら2人を、産業スパイ行為の容疑で逮捕した。一連の犯行にはもう1人の中国系研究員が関わっているが、事件発覚後に香港に逃走した疑い。

 主犯格のユドン・ズー容疑者(44歳)は、強力な磁場と電波を利用して人体の断層画像を撮影する磁気共鳴画像(MRI)技術の第一人者であり、2008年から同医療センターでMRIの技術を教えるほか研究のために放射線医学の助教授として働いていた。
 FBIの調べによると、ズー容疑者はNYUの研究チームが設計したMRI装置を撮影し、MRIに関する研究の最新情報などを中国で同様の研究を行っているユナイテッド・イメージング社に提供していた。またズー容疑者は他の2人の容疑者と共に、2010年に米国立衛生研究所から数百万ドルの研究費を受け取っていたほか、同時期に中国の深セン先進技術科学院でも類似した研究を先導していたことも明らかとなっている。

 ズー容疑者はスパイ行為への関与を概ね認めており、動機については「以前、ユナイテッド・イメージング社が米国の大学院に通うための学費を支払ってくれており、その返済に充てるためにやった」としている。

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