2025年5月23日 コミュニティニュース COMMUNITY

スポーツを通じた日米交流 アメリカ研修を通じて次世代スポーツリーダー育成へ ー TOMODACHI-U.S. Embassy Go for Gold Sports Leadership Program 2025

米日カウンシルとアメリカ大使館との官民パートナーシップの下で行われている「TOMODACHI-U.S. Embassy Go for Gold Sports Leadership Program 2025」が3年目となる今年も開催され、全国から選抜された大学生たちが2月下旬から3月中旬にかけて、ロサンゼルスとニューヨークを巡りながら、スポーツ業界の最前線に触れる貴重な機会を得た。

同プログラムは、将来のスポーツ界を担う日本の若者たちに、国際的視野とリーダーシップを育むことを目的に企画されたもので、スポーツ機関や大学、政府機関などから幅広い協力を得て運営されている。

ロサンゼルス・テラサキ武道館のライアン・リー・ディレクターと
南カリフォルニア大学日系クラブの主催で開催されたバスケットボール・ナイトで。親善試合で汗を流し、参加者全員には記念のTシャツが
プレゼントされ、大盛り上がりの一夜となった

ロサンゼルスでは、歴史あるロサンゼルス・メモリアル・コロシアム(LA Memorial Coliseum)やSoFi スタジアムを訪問し、実際の運営責任者から施設管理やイベント企画の裏側を学んだ。また、LA84財団やAEG社とのミーティングでは、ロサンゼルスの多様性やスポーツの社会的役割について、多面的な洞察を得る機会となった。

さらに、マイノリティーの歴史を学ぶ一環として、日系人強制収容所における野球の歴史を追った「マンザナー・インターンメント野球プロジェクト」や、リトルトーキョー散策も行われた。スポーツの枠を超え、社会的背景や文化理解を深める時間となった。

ニューヨークでは、リードオフ・スポーツ(LeadOff Sports)やセント・ジョンズ大学での交流を通して、アメリカの大学スポーツ制度や新たなNIL制度(学生アスリートの肖像権等活用)について学び、プロアスリートへの支援体制にも理解を深めた。さらに、クリエイティブ・アーティスツ・エージェンシー(Creative Artists Agency=CAA)や全米バスケットボール選手協会(NBPA)では、アスリートの契約やキャリア支援に関する実務的な内容にも踏み込んだ。

ナショナル・バスケットボール・プレイヤーズ・アソシエーション(NBPA)への訪問では、NBA選手をコートの内外で支える、同組織の役割について学んだ。NBPAが労働組合としての役割に加え、契約や肖像権などの選手の権利を守るだけでなく、キャリア開発、マーケティングの機会、メンタルヘルス・サポートといった重要なサービスも提供していることが紹介された
MLB本社の訪問では、同グローバルパートナーシップ部門のライアン・ソラッツォ氏とタイラー・ハート氏によるパネルセッション「大谷翔平効果」に参加。また、本社内を見学し、審判が実際に作業を行うリプレイ・レビュー・ルームも訪れた

スポーツ観戦も多彩で、NHLやNBA、MLSなどの現地試合の観戦を通して、アメリカにおけるスポーツビジネスの規模と熱量を体感。3月14日に東京で行われた最終発表会では、3つのグループに分かれ、在日アメリカ大使館員を含む50人以上の前で、「日本の大学スポーツについて(University Sports in Japan)」「ピックルボールの知名度を上げるためには(Raising Awareness of Pickleball)」「Jリーグにもっと一体感を創り出すための方法(Creating More Sense of Belongings in J.League)」をテーマに学びを共有した。

CityPickleへの訪問では、ピックルボールという新しいスポーツが都市環境の中でどのように成長し、物流面の課題を乗り越え、行政機関と連携しながら、活気あるソーシャルコミュニティーを築いていくかについて貴重な学びが得られた。ピックルボール認定講師のアグネス・アブデ(Agnes Abude)さんの指導の下、参加者同士で実際にピックルボールをプレーした

将来はアメリカで働き、持続可能なスポーツ施設の建設やスポーツを通した文化交流の仕事を志望する柳瀬真愛さん(東京大学工学部社会基盤学科)は、「日本ではスポーツの現場での女性参加がまだ少ないが、アメリカでは女性が多く、重要なポジションも担っていたのが印象的だった。また、スポーツビジネスが浸透していて、ゲームを通じてのエンタメが充実しているのが素晴らしいと思った。大学女子バスケットボールのように女子スポーツも非常に盛り上がっていたので、今後は日本でも女子スポーツの発展に貢献していければ」と話す。

フレスコボール(ブラジル発祥のラケットスポーツ)の普及活動を行なってきた経験から、将来はスポーツ教育に携わりたいという井上慎也さん(高知工科大学経済マネジメント学部)は、「日本と比べてアメリカではスポーツが必ずしも教育の一環として行われているのではなく、一人一人の自主性に任せられているのが印象的だった。将来は、日本でもよりさまざまなスポーツが身近になり、苦手な人でも気軽に日常的に取り組めるような環境づくりに研究者として関わっていきたい」と抱負を述べた。

スポーツが人々に与える勇気やエネルギーに魅力を感じているという大本空さん(東洋大学ライフデザイン学部)は、「今回の訪問先での選手や関係者のスポーツに対する深い理解やアピールする力、そして自信を持っている様子がとても印象的だった。また、大学スポーツでも日本との圧倒的な規模の違いを感じた。日本にはまだまだ成長余地があると感じたし、今後はスポーツが、より地域の軸となり、街と一体化し、日常に溶け込むような日本ならではのスポーツの発展に寄与していきたい」と目を輝かせた。

東京で行われた最終報告会では、50人以上の特別ゲストとして、在日米国大使館スタッフ、T3 サッカー・スターツ・アット・ホーム創設者のトム・バイヤーさん、一般財団法人ピックルボール日本連盟の蜂谷 ロレンツォーニ 千春さんらが参加し、プログラムの参加者全員が終了証を受け取った

(写真提供:米日カウンシル)

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