2025年7月1日 NEWS DAILY CONTENTS コミュニティニュース COMMUNITY

日本の大学発スタートアップ支援プラットフォーム(NINEJP)が始動 NYで説明会を開催

非営利団体NINEJP(ナインJP:National Innovation Network for Entrepreneur Japan)は6月20日、同団体の概要と活動計画の説明会をJETROニューヨーク事務所で開催した。NINEJPとは、全国9拠点の大学発スタートアップ支援プラットフォームが連携し、日本全体で国際的に通用する事業を生み出すことを目的としたイノベーションエコシステム。科学技術振興機構(JST)が今年2月に設立した。

説明を終え、参加者に協力を依頼する渡部さん(写真:本紙)

経済の長期低迷を経て、国際的競争力が大幅に低下する日本では近年、スタートアップの育成が不可欠であるとの認識が高まっており、政府は2022年、国内スタートアップ数を5年間で10倍にすることを目標とした「スタートアップ育成5か年計画」を策定した。これを受けて、知の源泉から生まれるスタートアップ輩出機関としての大学の存在感も増している。事実、近年の大学発スタートアップの伸長は目覚ましく、上場する企業数も増加。しかし、海外のエコシステムと比較すると依然として裾野が狭く、成長性にも大きな課題が残されている。とりわけ、グローバルに活躍できるユニコーン級のスタートアップは極めて限られているのが現状だ。

NINEJPに参加する9拠点(提供:NINEJP)

NINEJPのミッションは、大学発スタートアップ創出支援に取り組む支援者が国内外における事業化推進や研究活動に関する情報、助言などを効率的・効果的に取得できるようにサポートすることで、説明会では、具体的な計画を披露した。今回の訪米団の座長で東京科学大学副学長の渡部俊哉さんは、全国150以上の大学や研究機関がNINEJP参画しているとして、それらの幅広いステークホルダーとつながり、各拠点で育まれている技術シーズの価値と可能性を「見える化」することで、「社会課題解決へのビジネスアイデアへと磨き上げていきたい」と抱負を述べた。また、「海外で活躍している皆さんと皆さんが持つネットワークが不可欠」と現地の参加者に協力を呼びかけた。

BIO InternationalにおけるNINEJPの出展(写真提供:京都大学)

続いて、同プラグラムにおいて海外での活動に関するプロジェクトリーダーを務める京都大学成長戦略本部長の室田浩司さんが登壇。ボストンでこのほど行われたライフサイエンス分野の世界最大級の展示会、BIOインターナショナルに、日本の大学から大規模な共同出展がなされたとして、その意義を強調した。同時に室田さんは、同展示会での日本のプレゼンスの低さ、世界規模で急速に進化を遂げるAI分野における日本の研究の立ち遅れへの懸念を表明。主要な展示会場以外での国際的ネットワーク構築の重要性から、トランプ政権下での米国アカデミアとの連携まで幅広く論じた。

説明会前には、森美樹夫・在ニューヨーク総領事・大使(右から3人目)を訪問した(写真:本紙)

訪米団は説明会に先立ち、森美樹夫・在ニューヨーク総領事・大使を訪問。同プログラムの趣旨を説明し、今後の協力を依頼した。また、ボストンでも高橋誠一郎在ボストン総領事を訪問。アカデミアおよび現地エコシステムの関係者と積極的な交流を行ない、ライフサイエンス分野を含めた日本の技術力をアピールした。

説明会終了後、懇親会を開催した(写真:本紙)
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