
ワシントン州シアトル市に本社を持つコーヒーチェーン大手米スターバックスの最高経営責任者ハワード・シュルツ氏は16日、マンハッタン区のタイムズセンターで会見を行い、提携するアリゾナ州立大学の通信教育で従業員が学位を取る際、学費を援助する奨学金制度を、この秋から開始すると発表した。家庭環境が貧しくても、働きながら大学へ進学できるチャンスを与えることが目的だという。
新制度を利用できるのは、全米に8200軒ある直営店で働く、勤務時間週20時間以上の約13万5000人の従業員で、複数の学部から学びたいものを選択できる。大学卒業後、同社に残り働くことは強要されないという。
大学1、2年生の間は、大幅に減額された学費を自己負担することになるが、3、4年生の分は同社が全額負担する。2年生までの過程をすでに終了している場合、卒業までの学費が無料という計算になる。
シュルツ氏は、「(経済的な)不平等により多くの米国人が取り残されている。従業員の向学心を支援することは、スターバックスができる最高の投資だ」と指摘する。
小売業界に勤務する低賃金労働者への奨学金制度は稀だが、2010年に米大手小売チェーンのウォルマートが、オンラインのアメリカン・パブリック大学で学ぶ従業員の学費の一部を負担する制度を開始している。
スターバックス社でも、シアトル市立大学およびストレイヤー大学で学ぶ従業員の学費を年間最高1000ドル負担する制度を実施しているが、この制度は15年に廃止予定であるという。
同日の会見には、米教育省のアーン・ダンカン長官や、同社の従業員とその家族約340人が参加した。
米国の大学は授業料が高いため、経済的な理由から退学を余儀なくされる若者が多い。また卒業後に待ち構えている教育ローンの返済についても深刻な社会問題となっている。
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