2025年9月12日 早稲田アカデミーNY校 COLUMN

早稲田アカデミーNY校 川村先生の知って安心! 帰国入試情報室 Vol. 6 読書が未来を変える

ニューヨークで育つ子どもたちに今できること

 ニューヨークで暮らす小・中学生にとって、日々の生活の中で「日本語」と「英語」という二つの言語に触れる環境は大きな財産です。その中で、どちらの言語でも本を読む習慣を身に付けることは、将来の学習や受験だけでなく、豊かな思考力や表現力を育むうえで非常に重要です。

1.  読書がもたらす3つのメリット

(1)語彙力・表現力の向上

日本語の本を読むことで、語彙が自然と増え、複雑な文の構造や言葉のニュアンスを身に付けることができます。帰国後の国語試験や作文、面接対策にも直結します。一方、英語の本を読むことで、学校で学ぶ単語や文法を実際の文脈の中で理解でき、リスニングやスピーキングにも好影響を与えます。特にネイティブ向けの児童書やYA(Young Adult)小説は、教科書では得られない自然な表現の宝庫です。

(2)思考力・読解力の養成

読書は単なる情報収集ではなく、「考える力」を養います。登場人物の心情を推測したり、物語の背景を理解したりする過程で論理的に物事を捉える習慣が育まれます。これは、日本の中学・高校入試で求められる「長文読解力」にもつながります。

(3)多様な価値観との出会い

多文化社会であるニューヨークに住んでいる今だからこそ、世界各国の物語やノンフィクションに触れることは、子どもの視野を大きく広げます。日本語で読む歴史小説、英語で読む現代社会を扱ったノンフィクションなど両言語を行き来する読書は、異なる価値観を柔軟に受け入れる力を養います。

2.  家庭でできる読書習慣の工夫

・親子で一緒に読む時間を設ける

小学校低学年のうちは親子で音読をするのも効果的です。日本語と英語を交互に読むことで、二言語の感覚を自然に身に付けられます。

・読書ログや感想ノートを活用する

読んだ本をリスト化したり、一言感想をメモするだけでも習慣化しやすくなります。帰国後の作文や面接の素材としても役立ちます。

・デジタルと紙の併用

KindleやAudibleなどのデジタルサービスも活用しつつ、日本語の本は紙で手に取るなど、目的に応じた使い分けが効果的です。

3. ニューヨークでの本の入手方法

(1)紀伊國屋書店(Kinokuniya New York)

ミッドタウンにある紀伊國屋ニューヨーク店では、最新の日本の児童書や参考書、受験関連書籍まで幅広く手に入ります。

(2)図書館の活用

ニューヨーク公共図書館(NYPL)は蔵書が豊富で、電子書籍の貸出サービスも充実しています。専用アプリ「Libby」を使えば、端末から日本語・英語の本を簡単に借りられます。

(3)オンライン書店

Amazon Japan:日本語書籍の海外発送に対応

BookLive・honto:電子書籍なら即日入手可能

Audible:移動時間を活かして耳から学ぶのに最適

(4)現地コミュニティーの交換会

ニューヨーク在住の日本人コミュニティーでは、絵本や児童書の交換イベントが定期的に開かれています。コストを抑えつつ新しい本と出会える貴重な機会です。

まとめ

ニューヨークに住む今だからこそ、日本語と英語の両方で本を読む習慣は、子どもの未来を大きく広げます。読書は単なる知識習得にとどまらず、語彙力・思考力・多文化理解を深める「生きる力」を育む時間です。多忙な日常の中でも、1日10分から始められる家庭での読書習慣が、将来の学びや進路選択を大きく左右します。まずは親子で一冊、手に取ることから始めてみませんか。

稲田アカデミー ニューヨーク校
https://www.waseda-ac.co.jp/abroad/school/newyork.html

早稲田アカデミーNY校  川村宏一(かわむら こういち)

早稲田アカデミーUSA取締役・NY校現地代表。2002年に早稲田アカデミーに入社後、校舎で7年間にわたり講師を務め、その後、高校受験部門で英語科目の責任者を担当。現在の早稲アカ英語科システムの礎を築いた後、国際部に異動し、英語専門校舎の統括責任者に就任。2023年3月から現職。早稲田アカデミーの教育理念である「本気でやる子を育てる」を、海外においても実践している。お問い合わせはこちらまで(メール:newyork@waseda-academy.com

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