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日本人デザイナーは何を感じた? NYファッションウィーク初挑戦の舞台裏

9月11日・12日にニューヨークで開催された「Global Fashion Collective(GFC)」、写真は「るいこ堂」のショーより
毎年9月と2月に行われるニューヨークの風物詩イベント「ニューヨーク・ファッションウィーク(NYFW)」。街のさまざまなベニューやブティック、伝統建造物までを舞台に、ニューヨークを拠点とするデザイナーはもちろん、世界各国のデザイナーたちが1日のショーのためにコレクションを準備する。そして、その魂のこもった作品を見ようと、あらゆる業界人が集結し、作品を最高の状態で魅せるためにモデルやヘアメイクアーティストも力を尽くす。

そんな情熱が渦巻く現場で、日本人デザイナーたちが会場を沸かせていた。今回取材したのは、世界中の精鋭デザイナーを集め、ニューヨーク、パリ、東京などの主要都市でショーを開催する「Global Fashion Collective(GFC)」。バルーンで服作りに挑戦する神宮エミさんと、遊び心あふれる作品で観客の笑顔を引き出した、るいこ堂さんに話を聞いた。
◆ 障害のあるモデルを起用「命を強く意識」
まずは1日目に登場した「EMIJINGU」を手がける神宮エミさん。普段はバルーンアーティストとして活躍する彼女は、過去にカナダでのショー出演経験はあるものの、ニューヨークは初めて。テーマである「多様性」をよりダイレクトに伝えるべく、今回はハンディキャップのあるモデルを起用し、それぞれにインタビューを実施。そのストーリーからインスピレーションを得て、各モデルに合った作品を制作したという。


「2020年に自分自身が病気をしてしまい、そこから出産も経て、命というものを強く意識するようになりました。作品を通して命について表現していきたいと強く思うようになり、今回のコレクションは自分の思い出とも重なるテーマだったので、本当に胸がいっぱいになりましたし、感動しました」

◆ 「ニューヨークは街が受け入れてくれる」
続いては2日目に登場したるいこ堂さん。ランウェイを劇場、モデルを役者に見立て、作品を自由自在に演出するショーで会場を沸かせた。「暮らしを遊ぶ、日常は余興だ」をテーマに、鯉のぼりやスイカ、だるま、クリスマスツリーなど、四季折々の仕掛けを盛り込んだ作品を披露した。


驚くべきことに、今回が初のファッションショー、そして初の海外挑戦だったというるいこ堂さん。ショーを終え、興奮冷めやらぬタイミングで話を聞くことができた。
「これまではショーよりも販売に力を入れていましたが、このお話をいただいてから考えが少し変わって、『今やりたいことがショーなら挑戦しよう』と思いました。英語が分からないので、言いたいことをすべて訳してプリントアウトして持ち込みましたが、モデルさんたちも私の作品を理解してくれて、動きの指示にも応じてくれました。今は感無量です」

今後の目標について尋ねると、「自分が作りたいものを作って、世界観を表現し続けたい。ニューヨークは街を歩いていても受け入れてくれる雰囲気があるので、また挑戦したいと思っています」と答えてくれた。

◆
それぞれの思いとテーマが交差し、輝くニューヨーク・ファッションウィーク。彼女たちのショーの幕は閉じたが、すでに次なる目的地へと歩みを進めているはず。またどこかで、進化した彼女たちのストーリーに出会える日を心待ちにしたい。
取材・文・写真/ナガタミユ
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