2025年10月14日 COLUMN 山田順の「週刊 未来地図」

山田順の「週刊:未来地図」 少子化の根本原因は若者の貧困化 どうする?中間層の若者が結婚できない現実!(上)

少子化が恐ろしい勢いで進んでいる。その結果、人口減が加速している。現在、日本人の人口(2025年1月1日時点)は1億2065万3227人で、昨年より90万8574人の減少。今年はもっと減るのは確実だ。
なんと日本は、1年間で約100万人が減少するという、超人口減社会に突入している。これからは、毎年、人口100万人都市が1つ消滅していくのと同じことが続いていく。
すでに、少子化は未婚化が招いたことがはっきりしている。いまの若者たちは結婚しない。というか、貧困化により、結婚できなくなっている。だから、子供も生まれてこない。
それなのに、政府は見当違いの子育て支援のような「少子化対策」を続けている。このまま、人口減が進むと、日本はどうなってしまうのだろうか?

■「結婚シーズン」の秋なのに結婚式が激減

 秋は結婚式の季節。
 温暖化により猛暑が続いているので、いまや9月は秋とは言えないが、10月、11月になれば、いわゆる「結婚シーズン」となり、街で花婿・花嫁の姿を見かけることが多くなる。
 しかし、最近、それがめっきり減った。また、結婚式に呼ばれることが減った。これは、私の歳のせいと組織に属さないフリーランスという立場のせいでもあるが、結婚式そのものが減っているからだ。
 統計を見ると、日本の婚姻数は1972年の約100万組をピークに減少を続け、近年は50万組を割り込んでいる。なんと、半減である。
 結婚年齢層の人口は大幅には減っていないから、この落ち込みの原因は、少子化による人口減だけとは限らない。ズバリ、若者たちの貧困化にあると指摘されている。

■結婚するのは年収から見て上位3割の層だけ

各種調査を見ると、20代の年収の平均中央値は300万円台半ば。これが30代前半になると300万円台後半になり、30代後半になると400万円台半ばになる。
 この20代〜30代がもっとも結婚する年代だが、この年収で、はたして一般的な結婚生活が可能だろうか?
 (ちなみに、20代の300万円台半ばをドル換算すると、1ドル150円で約2万3000ドル。これに対して、アメリカの20歳〜24歳の平均年収は約3万8000ドル、25歳〜34歳が約5万3000ドル。日本は著しく低い)
 どう見ても、20代、30代のこの年収では、どちらか片方(ほぼ男)が働いて片方(ほぼ女)を養う、すなわち「昭和の結婚」はできない。また、共稼ぎをしたとしても、生活状態はアップアップである。
 その結果、彼らの多くが結婚を諦めている。結婚するのは、(後述するが)年収が上位3割の層で、残りの7割の層にとって、結婚は「諦める」=「できない」ものとなっている。

この続きは10月16日(木)に掲載します。 
※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

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