米国土安全保障省(DHS)は29日、難民・亡命許可取得者・特定ビザ保持者の配偶者および永住権(グリーンカード)申請者が、労働許可証(EAD)の更新を申請する際の現行540日間の猶予期間を終了すると発表した。新しい規則は10月30日から発効となり、延長が認められない。EADの期限が失効した移民は、米市民権移民局(USCIS)が判断を下すまで合法的に就労できなくなる。ニューズウィークが29日、伝えた。

USCISのジョセフ・エドロー局長は声明で「外国人審査と身元調査の強化に改めて重点を置く。全ての外国人は、アメリカでの就労は権利ではなく特権であることを認識すべきである」と述べている。写真はイメージ(photo: Unsplash / Tim Mossholder)
EADは移民がアメリカで合法的に就労することを可能にするもので、一定期間付与される。有効期限が切れると、移民は更新の申請をしなければならない。
今回の変更は、USCISの決定待ち状態にある移民を保護しようとしたバイデン政権時代の政策を再び覆すもの。現行規則では、更新申請を行うEAD保持者に対し、現EADの有効期間が最大540日間自動的に延長されていた。これにより移民は合法的な就労を継続でき、USCISは審査期間が確保できた。
DHSは、EADの有効期限が切れた移民が就労不能に陥る可能性を認めつつも、国家安全保障を確保するための必要不可欠な代償だと主張(これらの個人は既にアメリカに入国し、就労許可のための審査を経ているという矛盾がある)。更新に必要な審査には、より詳細な経歴・犯罪歴調査、移民ステータスの再審査、指紋や写真などの生体認証データの再収集が含まれる可能性がある。
2024年までの自動延長計画では、毎年29万3000人から45万人がEAD延長を申請していた。USCISは毎月約5万2800件の申請を受け付け、約4万9000件を処理している。
今回の規則変更の影響を受ける主な対象者
・合法的永住者の特定の家族
・ミクロネシア連邦、マーシャル諸島、パラオの市民
・退去保留または国外退去保留を許可された外国人
・8 CFR 274a.12(a)(12) または (c)(19) に基づくEADを有する一時保護資格(TPS)受益者
・難民認定申請中の人
・在留資格変更/グリーンカード申請者
・Eビザ、Hビザ、Lビザ非移民の配偶者(H-1Bビザ保持者の配偶者である一部のH-4ビザ保持者や、就労ビザでアメリカに滞在する他の移民の配偶者)
・VAWA(暴力被害女性保護法)に基づく自己申請者およびその家族
・グリーンカード申請中の人がEADを申請する場合
例外
既存の自動延長対象者や、異なるDHS規則に基づき延長が認められる一時保護資格(TPS)保持者
自動延長終了が及ぼす影響
移民弁護士エリッサ・タウブ氏はニューズウィークに対し、「USCISが事前警告なしにこの暫定最終規則を発表したため、個人とその雇用主は将来の計画を立てられない。これは現政権がアメリカへの移民促進や手続きの円滑化・効率化を望んでいないことを示すさらなる証拠だ」と話す。元ICE(移民関税執行局)およびUSCIS職員のクレア・マクナルティ氏は、処理中の案件を抱えたまま労働市場から離脱する人々が大勢いるため、「労働許可を失う人々が大量に発生するだろう」と推測。さらに「TPS(一時保護措置)が終了し、アメリカ経済を前向きに支えてきた労働者がますますその役割を果たせなくなることで、経済の低迷が続くのは想像に難くない」と指摘している。
今後の見通し
USCISは、ビザや就労許可の発行件数が減少することで職員の業務負担が軽減され、更新手続きを迅速に処理できると見込んでいるが、遅延は継続すると認めている。
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