2025年10月10日 NEWS DAILY CONTENTS

アメリカ就労ビザ「H-1B」がさらに厳格化? トランプ政権、新たな改革案を提案

9月以降に提出されるH-1Bビザ申請に対して、新たに10万ドルの手数料を課すとしたトランプ政権は9月末、「H-1B非移民ビザ分類制度の改革」案を連邦官報に掲載。雇用ベースの移民制度を再構築する広範な規制改革計画を発表した。国土安全保障省(DHS)の概要によれば、改革案は「上限免除の適格要件の見直し、プログラム要件違反の雇用主に対する監視強化、第三者による人材紹介への監督強化などを含む」ことが目的。DHSは、これらの変更が「H-1B非移民プログラムの健全性を向上させ、アメリカの労働者の賃金と労働条件をより良く保護するため」であると述べている。ニューズウィークが8日、伝えた。主な変更点は下記。

反対派は、H1-Bビザプロセスの厳格化はアメリカの研究・技術開発・競争力に影響を及ぼすことを懸念、10万ドルの手数料は大統領の権限を逸脱していると主張している。写真はイメージ(photo: Unsplash / Julia Koblitz)

専門的職業要件の厳格化

2020年にトランプ政権下で回覧された草案では、該当職は「直接関連する特定の専門分野」の学位を必要とするよう提案されていた。同様の表現は24年のバイデン政権時代の規則にも一時的に登場したが、後に「学位と職務内容の間に論理的関連性があること」を意味する緩和された表現に変更された。より厳格な表現を復活させれば、対象となる職種が制限される可能性がある。

年間上限免除の範囲を見直し

国土安全保障省(DHS)は、年間上限から免除される雇用主と職種の範囲を見直し、縮小する可能性がある。これにより、現在免除の恩恵を受けている非営利研究機関、大学、医療機関に影響が及ぶ。

第三者派遣企業への監視強化

H-1B労働者を他社事業所に派遣する企業(技術・コンサルティング業界で一般的)に対する監督強化が予想される。

雇用主コンプライアンスの審査強化 

賃金・労働条件規則違反歴のある企業に対する審査を強化し、ビザ再申請のハードルを引き上げる方針。

今後の見通し

提案されているH-1B規則は初期段階にあり、国土安全保障省(DHS)は今後数カ月以内にパブリックコメント募集のための完全な草案を公開する見通し。意見募集期間が終了次第、DHSは最終版を発行し、次回のH-1B申請サイクルに影響を与える可能性がある。ただし、法的異議申し立てにより実施が遅延または阻止される可能性もある。

支援団体は既に、新たな10万ドルのビザ手数料などの関連措置について、政権が権限を逸脱したと主張し提訴。雇用主と労働者は、変更が施行される前に最新情報を注視し、現行規則に基づく申請を検討することを推奨している。

H-1Bプログラムとは

H-1Bプログラムは、1990年移民法の一環として議会が創設。アメリカの雇用主が「専門的職業」に従事する外国人を雇用できるようにするもので、年間新規ビザ発行数は6万5000件に制限されており、アメリカの教育機関で高度な学位を取得した個人には追加で2万件が割り当てられている。労働者の多くは、技術、医療、教育、研究分野に従事する。

                       
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