2026年2月25日 NEWS DAILY CONTENTS

NYで「低所得向け」アパートの家賃が高騰、立ち退きを未然に防ぐには?

ニューヨーク市の住宅抽選「ハウジングコネクト」対象アパートなど低所得者向け住宅の入居者は、所得基準を満たし、通常収入の30%以下を家賃に充てる。生活費の上昇や失業・予期せぬ出費といった急な経済的打撃は、家賃規制下でも入居者の家計を圧迫し支払いを困難にする。写真はイメージ(photo: Unsplash / With Paul)

ニューヨーク市で「低所得向け」とされるアフォーダブルハウジング(補助付き住宅)でも、家賃が払えず立ち退き訴訟が増えていることが、新たな報告書から分かった。

写真はイメージ(photo: Unsplash /
With Paul)

政策団体ニューヨーク住宅会議の分析によると、2024年に市内で提起された約12万件の立ち退き訴訟のうち、3分の1以上がアフォーダブルハウジングの所有者によって提起されていた。4万3000件の立ち退き請求の大半は家賃不払いが原因。報告書執筆者によると、パンデミック初期の失業、賃金低下、物価上昇が引き金となり、多くの低所得者層が回復に苦しむ中、この問題は深刻化しているという。申し立ての約半数はブロンクスに集中していた。滞納額の中央値は約4600ドルと比較的小さく、それでも訴訟に進んでしまう実態も明らかになった。地元ニュースサイトのゴッサミストが25日、伝えた。

開発業者向け低所得者向け住宅ローンは通常、家主が返済を履行できるよう、世帯の95%が家賃を支払うことを前提に算出される。ニューヨーク住宅会議による別の2025年10月報告書によれば、政府補助住宅における家賃回収率は90%に低下、約10棟に1棟では80%を下回っている。

支援を早く届けて訴訟化を防ぐ「迂回裁判所」の提案

ニューヨーク住宅会議は、対策の柱は「支援を早く届けて訴訟化を防ぐ」ことだとして、立ち退き回避に特化した、ディバージョン(迂回)裁判所の新設を提案。裁判所が解決策の提示、支払い計画の策定、滞納分の資金援助をより迅速に行い、賃借人の居住継続と建物の財政的安定を図る。住宅会議は州議会議員に対し、同プログラム設立のため次期予算で約1700万ドルを計上するよう要求。さらに、市の緊急家賃支援「ワンショットディール」(2024年度には、約4億8400万ドルを4万7600万世帯以上に1世帯平均約1万ドル支給)については、現状だと手続きが長引き、滞納が膨らみやすい点が課題だと指摘。裁判が長期化するほど行政負担も増えるため、早期介入が重要とした。

退去を求められる前にできることは?

アフォーダブルハウジングに入居する市民が退去を避けるためには、次のような実務ポイントが考えられる(通常の賃貸住宅を借りている場合にも適用できる)。

• 滞納が出る前に家計を見直す(収入減・医療費など“想定外”の支出が出た時点で相談をする)

• 家主から通知が来たら放置せず、支払い計画の提案と同時に公的支援(ワンショットディールなど)を申請する

• 裁判所の書類・期日は必ず確認し、必要ならリーガルエイドなどの支援機関に早めにつなぐ

アフォーダブルハウジングは「入れたら安心」ではない。困窮したときにいかに早く支援にアクセスできるかが退去回避のカギとなる。

                       
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