2015年7月31日 NEWS DAILY CONTENTS

70年代の壁画を復活へ 歴史を思う住民たちの願い

 マンハッタン区ミッドタウンウエストのヘルズキッチンをかつて彩っていた46丁目の壁画を復活させようと、近隣の住民たちが立ち上がっている。
 1972年に作成されたこの壁画は「米国内植民地にはならない(Against Domestic Colonialism)」と題されたもので、マンハッタン区の摩天楼を背景に多民族の人々が集まっている様子を描いていた。壁画には「私たちの街は私たちが守る」と言葉が添えられており、当時さかんに行われていた低所得移住者の追い出しの根源となっていた“街の高級化”に反対する住民らのシンボルでもあった。
 そして今、この壁画を再び復活させようと住民たちが動きだしている。2012年には壁画修復会が壁画復活プロジェクトを始めようとしたが、工事に必要な15万ドル(約1850万円)を集めることができず、断念せざるを得なかった。今回の復活プロジェクトは45-46丁目自治会によって施工され、ゴールデンペイント社より寄贈された油絵の具などを使って作業が進められるという。プロジェクトリーダーのウィル・ロジャース氏は「まるでエベレスト登頂を目指しているようだ。完成まで長い道のりとなるだろう」と話しており、プロジェクトメンバーのジェーン・ワイスマン氏も「壁画の状態からして、壁を全部取り替え、壁画も全て一から描いていかなければならない」としているが、「オリジナルのような作品に描けたら」とプロジェクトメンバーは熱意をみせている。

photo: Kawasaki

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