
芸術の秋、紅葉を楽しめるのもあと残りわずか。その最後のチャンスに訪れたいアップステートのおすすめの場所をご紹介します。とくにミッドセンチュリーのイームスをはじめとするデザイナーズ家具やファイヤーキングといった食器が好きな人なら、プロダクトデザイナーのラッセル・ライトの名をご存知でしょう。
代表作「アメリカンモダン」シリーズはピンク、ブルー、イエローなどの、あたたかみのある中間色を使った丸みを生かしたデザインの陶器。ひとつでも、セットで集めても食卓がパッと明るくなります。これらは1939年から59年の間、一般家庭で使うための割れにくい食器として作られ、広く愛されたもの。その創作の場は大自然の中にありました。
彼の自宅兼アトリエは日帰りで芸術と紅葉の両方を楽しむにはまさにうってつけの場所。アメリカの国定歴史建造物にも指定された「マニトガ」の一般公開は春から秋の間だけ。グランドセントラル駅からメトロノースで1時間強のコールドスプリング駅からトラムで行くことができます。
アメリカ先住民、アルゴンキン族の言葉で「偉大な魂が棲む地」という意味を持つラッセル・ライトの城、「マニトガ」が建つのは75エーカーにも及ぶ広大な土地。敷地内の木々や植物、滝や池まで、自然のあるがままの姿を生かし長い時間をかけて設計されたといいます。とりわけ素敵なのは、リビングとダイニングルーム。そしてその2つをつなぐ階段です。床や壁にはむき出しの岩を組み、屋内にいながらにして大自然の中でくつろいでいるような感覚を覚えます。「虫が見た風景」と表現されるアトリエは、3面をガラス窓で囲み緑を間近に感じさせるもの。月を眺められるテラスもあります。松葉を樹脂に貼り付けた天井、キャンバスを編んで作った間接照明など、素朴な工夫が随所に見られます。
ライトは戦後間もない1950年代、西洋で起こったグッドデザインムーブメントを通し日本伝統のものづくりを広めるため、日本政府に招かれ日本も訪れています。
冬が来る前にマニトガに足を運んで、日本のものづくりからの影響が垣間みれる慎ましく美しいデザイン、自然との調和を体で感じ、温もりをたっぷり補給してください。






MANITOGA,
The Russel Wright Design Center
www.visitmanitoga.org
※2018年のツアーは11月12日(月)まで
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