留学先のイタリアで、ルームメイトだった英国人女性を殺害した罪に問われている米国籍のアマンダ・ノックス被告(25歳)に対し、イタリア最高裁は25日、逆転無罪となった二審判決を破棄し、裁判のやり直しを命じる判決を下した。同裁判は“美しすぎる犯罪者”が関わっている通称“アマンダ・ノックス事件”として、全米から注目が集まっている。
ノックス被告は2007年11月、イタリア中部の学園都市ペルージャで、元交際相手のイタリア人、ラファエル・ソレシト被告(29歳)と共に、ルームメイトの英国人留学生、メレディス・ケルヒャーさん(当時21歳)に性的暴行を加えた後、刃物で殺害した疑いが持たれている。ケルヒャーさんはアパートの自室で、喉を切り裂かれた状態で遺体となって発見された。
両被告は無実を主張しており、事件のあった夜は大麻を吸引していたため記憶があいまいだが、アパートにはいなかったと供述していた。ノックス被告は第一審で有罪判決を受け、イタリア国内で4年間服役したが、2011年の第二審で、刃物から採取されたとするDNA鑑定の信ぴょう性が低いことが証明され、一転して無罪を勝ち取っていた。だが、犯行当時の両被告のアリバイが未だ立証されていないこと、証言が二転三転することなどから、今後の裁判の行方が注目される。
今回の判決では、事件についてさらなる審議が必要であるという決定が下されたが、具体的にどの点について再検証が行われるかは、3カ月以内に最高裁が発表する判決全文で明らかにされるという。
ノックス被告は無罪判決後に故郷のシアトルに戻り、現在はワシントン大学で学生生活を送っている。今回の判決を受け声明を発表し、「無罪破棄は非常に悲しい知らせ。家族と共に、真実を胸に堂々と不当な断罪に立ち向かい続ける」と述べた。
今後、ノックス被告の有罪が確定した場合には、イタリア政府が米国に対して身柄の引き渡しを求める可能性が高い。実際に引き渡しが行われるかどうかは、米国政府の判断と両国間の話し合いで決定されるものとみられる。
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