米国家運輸安全委員会は14日、飲酒運転に関する新たな報告書を提出した。これによると、米国内の高速道路で発生する死亡事故のうち、飲酒運転によるものが約3分の1を占めていることが分かった。飲酒運転による死者は過去15年にわたって減少傾向が見られず、“死亡者ゼロ”の目標達成に向けての新しい技術や基準の導入が求められている。
報告書によれば、1980年代から90年代にかけて飲酒できる年齢が19歳から21歳に引き上げられたことと、運転者の血中アルコール濃度の基準値が最大0.08まで引き下げられたことにより、米国内の飲酒運転による死者数は著しく減少した。現在、飲酒運転による死者は年間約1万人で、82年の1万8000人の約半数にまで減少している。
だがその後は、さらなる犠牲者減少に向けた効果的な対策が実施されていない。同委員会は昨年12月、自動車製造業者と高速道路交通安全局に対し、乗用車に運転者の血中アルコール濃度の測定器を組み込む技術について研究を進めるよう要請した。この技術は、運転者がチューブに息を吹き込むなどの動作をしなくてもアルコール濃度を測定し、一定の濃度以上だった場合は乗用車を作動させないようにするものだが、実現にはまだ数年かかる見通しだ。
このほか、血中アルコール濃度の法定基準値を現行の0.08からさらに引き下げることも提案されている。保険会社の報告によれば、基準値を0.08未満にすることで、年間7000人以上の死者数の減少が達成できるという。実際、オーストラリアでは基準値を0.05に下げた結果、飲酒後に運転する人が減少し、その結果、死亡率が12%も減少した。また、欧州ではほとんどの国の法定基準値が0.05で、中には0.02としている国もある。目安としては、体重が約55キロ以下の女性はドリンク1杯、約73キロ以下の男性はドリンク2杯で血中アルコール濃度が0.05に達するとされる。
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