問①:米国の公的年金(Social Security Benefits)に関して基本的なことを教えてください。
まず10年間ほど米国の会社に勤務してその間年金の掛金を税金として(Social Security Tax)支払っていると、年金受給資格が与えられ、将来年金を受け取ることができる、この理解でいいでしょうか?
解答:基本的にはその通りです。会社勤めだけでなく、自営業者(Sole Proprietor)で、Self-Employment Tax(SE Tax)をやはり10年間支払うと年金受給の有資格者となります。従って5年間の会社勤めの後に独立されてSE Taxを8年間支払った場合でも、合計10年以上になりますので、問題なく将来年金の受給が可能です。
問②:日米年金協定(Japan-US Social Security Agreement/Total
-ization Agreement)について、その特徴を教えてください。
解答:この協定は2005年10月から施行されています。日本の親会社から米国子会社に駐在している方は、駐在期間(最高7―8年間)は日本の厚生年金への積み立てだけで済むことになり(SS Taxの支払いは猶予される)ます。また、この協定は年金受給資格の計算上、日本で厚生年金/共済年金/国民年金を支払った年数と、米国でSS Taxを支払った年数とを通算する(足し算する)ことを認めています。従って、例えば、米国でSS Taxの支払いが6年で、日本で厚生年金を渡米前に5年間払っていたとすると、通算の結果支払期間は11年となりますので、日米両国の年金を受け取る有資格となります(註:日本の公的年金受給資格は、それまでの25年から近々10年に短縮される予定です。※厚労省のホームページ参照の事)。一方、受給額は日米両国に支払った積立額に応じて計算されますので、米国は6年分、日本は5年分となります。そして、それぞれの行政機関、すなわち米国の公的年金はSocial Security Administration Office、日本のそれは年金機構に受給申請します。申請しないと受給は開始しません。
問③:なるほど。両国の公的年金を受け取れることができるようになるとは朗報ですね。
解答:Not-so-fastです。日本の厚生年金または共済年金を受け取りながら米国年金を受け取ると、米国年金の一部が減額されてしまう、「Windfall Elimination Provision(WEP)」と呼ばれるルールが米国側にありますので、要注意です。減額される金額は、ケースバイケースです。日本の受給額、米国での受取給与額、勤務(SS Tax支払年度)期間などの情報を総合して額が決まります。ちなみに毎年定められる「Substantial Earnings」額を超えた給与を、30年以上にわたり得ていて、それに応じたSS Taxを払っていたならば、WEPルールは適用されません。つまりこの場合、いくら日本の厚生年金を受け取っても、米国の年金は減額されることは無いわけです。なお、厚生年金ではなく国民年金だけを受け取っている場合には、一般的には、WEPが適用されないと考えられています。(次回に続く)

Financial Advisor / Tax Specialist
羽山 徹
TEL:914- 882-2819
toruh@earthlink.net
19 W 44th St #415, New York NY 10036
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