大塚 洋一(Gulliver USA) 車の豆知識 第59回 トランクルームの広さと使い勝手

 クルマを選ぶとき、1つの基準になるのが積載量。トランクルームの容積のことです。アメリカでは何でもスケールが大きく、牛乳などは1ガロン(3.79リットル)が主流です。そうなると、普段使いのことだけを考えても、トランクルームは広い方が良いというのは当然かもしれません。実際に、来店されるお客様の多くから、そのようなご要望をいただきます。自ずと選ぶクルマもトランクがハッチバック型になっている車種やSUVを選ぶ方が多くなっています。しかし、そのトランクルーム、本当に必要ですか?
 ここで、考え方を少し専門的にしてシミュレーションしてみましょう。そもそも、「大きいトランクルーム=見た目に広い=幅、奥行き、高さともに十分である」となりがちですが、最後の“高さ”は、本当に必要でしょうか? クルマ選びでトランクを見下ろしているとき、高さがある方が視覚的に広く感じます。しかし、“高さ”を必要とするのはどんなときでしょう?
①大きな箱モノを積み込むとき
②たくさんの荷物を積み上げるとき
 実は皆様が躍起になってこだわっていた“高さ”が効力を発揮することはほぼありません。①の大きな箱モノとは? 引越し時に家具などを運ぶときに便利、と考えますが、アメリカでは洗濯機は備え付けが当たり前。ソファーは大き過ぎるし、テレビはギリギリ入りますが、輸送中に倒れて壊すくらいならプロに頼む方が賢明。その他、大きなモノは重量がありますので、人手が必要です。
 ②のたくさんの荷物とは? アメリカンサイズの食品の入った買い物袋? 積み上げると中身が傷んでしまいます。キャンプ用品? アメリカのオートキャンプではコンロとテーブルは備え付けの所が多く、持っていくのはテントとエアベッドと食料くらいでしょうか。しかも最近のテントは折りたたみ式でかなりコンパクトになります。実際に私の友人は毎年セダン車でキャンプに行っています。では、旅行に行くときのスーツケース? そうですね、これが唯一の用途でしょう。しかし、クルマで旅行に行く場合スーツケースは要らず、家から空港までという用途が唯一でしょうか。しかしこれも、長期間の駐車料金を考えるとタクシーとさほど変わりません。疲れて旅行から帰ってきて、空港から家まで運転するお父さんのことを考えると…タクシーの方が良いのでは。
 こう考えてみると、トランクは床面積が重要で、容積(床面積に高さを掛けた広さ)はあまり重要でないことが分かります。床面積ではハッチバック車よりもセダンの方が広いことが多いです。実はタクシーにセダンが多いのはこれが理由の1つなの、知っていましたか?

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プロフィール
大塚 洋一
2004年に(株)ガリバーインターナショナル入社。対企業向けのコンサルティング営業部スーパーバイザーを経て、06年に直営店舗事業部へ転属。日米で店長を経験し、15年2月より米国代表に(NY店店長兼務)。豊富な知識と丁寧な接客に定評あり。緊急時や時間外も対応で心強い。
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