弁護士スティーブン・エプステインの知ってて安心! 法律指南 Vol. 41 ◆どうなる? 非合法移民の子どもの保護

 1986年11月6日、ロナルド・レーガン大統領(共和、第40代)は、包括的移民改革法案に署名しました。移民改革統制法(IRCA)では、在米する非合法移民300万人の滞在を合法化。

この法律は、1982年1月1日以来、米国に継続的に居住していた非合法移民の一部に、合法的滞在資格を与えることを認めました。しかしこの法律では、その期日以来、継続的に在米していなかった配偶者や子どもは除外されています。
 1987年、配偶者と子どもの滞在の合法化が米国議会にかけられましたが、実現されることはありませんでした。しかしその後、レーガン大統領政権の下、親が米国において合法的滞在資格の手続きを行なっており、その親と共に暮らしている18歳未満の非合法移民の子どもの国外退去処分を中止しました。
 1990年、既に退任したレーガン大統領と後任のジョージ・ブッシュ大統領(共和、第41代)は、両親のどちらかが合法的滞在資格者である場合、または合法的滞在資格の手続きを申請している場合、その親と暮らしている子どもを保護する権限を与え、国外退去処分を回避しました。しかし、非合法移民の両親を持つ子どもに対しては保護されておらず、国外退去処分されやすくなっていました。
 1990年以降、連邦議会は国外退去処分を余儀なくされる青少年の滞在合法化を何度も試みましたが、いずれも失敗に終わっています。
 2012年、バラク・オバマ大統領政権のもと、DACA(Deferred Action for Childhood Arrivals Program)が発足され、子ども時代に米国に到着した非合法移民の国外退去処分を遅らせ、救済しました。
 今年、ドナルド・トランプ大統領は、連邦議会が新たな法律を可決しない限り、子どものころ親に連れられて不法入国した青少年を保護するDACAを廃止すると発表しました。近年、連邦議会が移民問題を抱えていることを踏まえ、議会が非合法移民の青少年の国外退去処分を保留にするかどうかは不透明な状況となっています。

 
 

Steven

Steven W. Epstein スティーブン・エプステイン弁護士
ブランディーズ大学、ニューヨーク・ロースクール卒。18歳から法律事務所で働き始め、2003年まで弁護士組合員として幅広い分野の訴訟を担当。04年に独立し、「Steven W. Epstein & Assosiates法律事務所」を設立した。取扱い業務は、民事訴訟、会社法(設立、契約)、家庭法(離婚)、刑事訴訟など、多岐に渡る。また、NY市行政裁判所にて非常勤審判官も務めている。

 
 

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