弁護士スティーブン・エプステインの知ってて安心! 法律指南 Vol. 47 ◆医療過誤の訴訟

 診断や治療のミスなど、医師の過失によって起きる「医療過誤」。場合によっては大けがを負うことや死に至ることもあります。被害に遭った場合、医者や病院、医療施設に対して医療過誤訴訟を起こすことができます。
 医療過誤訴訟は、医療機関が起こした過失が原因で被害に遭った患者やその家族が受ける身体的・精神的損害や、金銭的損失に対する賠償を目的に起こすものです。
 たとえば不適切な治療や不注意によって患者が身体的障害を負ったために働けないとすれば、その期間の収入を補うために賠償金を受け取ることができます。手術をした医師の過失により慢性的な痛みを伴い、歩行が不自由になった場合には、歩行補助器具の購入費用と収入損失の両面で、賠償金を受け取ることができます。医療過誤によって家族が死亡した場合には、慰謝料はもちろんのこと、本来得られたはずだった将来の収入、死亡逸失利益が支払われます。
 医療過誤訴訟は、医療の専門分野を問わず起こすことができます。出産時の医師の過失で子どもが障害者となった場合や、明らかな症状があったにもかかわらず、がんを見逃したために進行し、手遅れとなり早期の死に至った場合にも適用できます。
 提訴できるかどうかを相談し、調査するために弁護士料はかかりません。提訴して利点があると思われる場合は、弁護士が医療記録を取得し、医療専門家に確認して、医療過誤訴訟を開始する合理的な根拠があるかどうかを判断することになります。係争中も弁護士費用を支払う必要はありません。
 勝訴、または和解した場合は、賠償金の一部を弁護士費用として支払います。医療過誤により大切な人が被害を被ったなら、まずは専門の弁護士に相談することをお勧めします。

 
 

Steven W. Epstein スティーブン・エプステイン弁護士
ブランディーズ大学、ニューヨーク・ロースクール卒。18歳から法律事務所で働き始め、2003年まで弁護士組合員として幅広い分野の訴訟を担当。04年に独立し、「Steven W. Epstein & Assosiates法律事務所」を設立した。取扱い業務は、民事訴訟、会社法(設立、契約)、家庭法(離婚)、刑事訴訟など、多岐に渡る。また、NY市行政裁判所にて非常勤審判官も務めている。

 
 

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