ニューヨークのビル・デブラシオ市長(58)は16日、来年の大統領選出馬を表明した。民主党から23人目の候補として指名獲得を目指す。同日、3分間のビデオを公表。「ワーキング・ピープル・ファースト(労働者第一)」を掲げ、最低賃金の引き上げや教育改革、医療保険制度の拡充など市長としての実績をアピールした。「この国は豊富な資金を持つが、悪の手の内にあるだけ」と訴え、移民政策および気候変動においてトランプ大統領と対立する立場をとってきたことを強調した。
デブラシオ氏は16日、ABCテレビの「グッド・モーニング・アメリカ」にシャーレーン・マックレイ夫人と共に出演。トランプ氏を「詐欺師の首領」と呼び対抗意識をあらわにした。民主党の他候補者との相違点について聞かれると「米国での労働条件は改善されるべき。全米最大で最も困難な市でそれを実現させた私は、それが可能なことを知っている」と主張した。
しかし、番組放送中、マンハッタン区タイムズスクエアのABCテレビ前では、デブラシオ氏の出馬に抗議するデモが開催。集まった人は「市を治められないのに、国を治められるか」と訴えた。キニピアック大学の先月の世論調査では、市の有権者の76%が、デブラシオ氏は大統領選に出馬するべきではないと回答。モンマス大学の3月と4月の世論調査では、他の民主党候補と比べてデブラシオ氏に投票すると答えた全米の有権者はわずか1%だった。
選挙活動を本格的に始めたデブラシオ市長は16日、アイオワ州を訪問。その後ネブラスカ、サウスカロライナ、ノースカロライナ州を回り、19日にニューヨーク市に戻る。だがその後すぐ、コネティカット州を訪れる予定だ。選挙期間中、市ではディーン・フリーハン第一副市長が市長代理として采配を振るう。
デブラシオ市長はマンハッタン区出身。2002年から市議を務め10年、市政監督官に。14年に市長に就任、現在2期目を務める。
ニューヨークタイムズは17日の記事でデブラシオ市政を分析。公立学校の生徒の人種多様化が遅れていることを挙げ「多様な市民を統合していない」と批判した。市住宅局(NYCHA)運営の公共住宅は鉛問題に加え職員の不祥事が相次ぎ危機にひんしており、連邦政府が介入していることも指摘。警察による職務質問の見直しは進んだが、「完全には改善されていない」としている。

ビデオで賛同を訴えるデブラシオ氏
(photo: Youtube / Bill de Blasio)
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