Gulliver USA 車の豆知識 第87回 自動車保険

 事故が起きてしまった場合、どのように保険の申請をしたら良いのでしょうか? 米国では通常、被害者が、加害者が加入している保険会社に保険を請求します。場合によっては、あからさまに保険金を出し渋る会社もあります。保険会社の主張が全て正しいとうのみにせずに、保険金を受け取るまで根気よく交渉する覚悟が重要です。
 保険代理店の中には、この交渉を代行するところもあります。ここで重要なのは、双方の間に入って単に「通訳」をするのではなく、保険会社の主張がおかしいと感じたら「交渉」をしてくれる代理店かどうかです。
 保険の請求でよくある事例を挙げて説明します。

 Aさんは停車中にBさんに衝突される「もらい事故」に遭いました。「一般的」には、Aさんの保険会社がBさんの保険会社に保険金の請求を代行することになりますが、これには大きな落とし穴が潜んでいることがあります。
 「一般的」というのは、Aさんのように完全に相手の過失による場合でも、自分の保険を使って修理する場合です。自分の保険を使うとAさんは「当事者」になりますので、相手と相手の保険会社の特定も、Aさんの保険会社が代行します。
 しかし、自分の保険を使うと、相手側から修理代が戻ってきたとしても、自分の保険履歴に「事故の記録」が残ってしまいます。「無事故」の経歴がなくなることになり、次の保険更新時に保険料が上がる可能性があります。
 そこで、事故歴が残るのを防ぐために、Aさんが自分の保険を使わない「一般的ではない」方法で保険金を得ることもできます。ただし、Aさんは自らBさんの保険会社を特定し、請求しなければなりません。
 ちなみに、冒頭で述べた保険請求のヘルプや交渉をする保険代理店は、当事者間にも保険契約間にも属さない代理店であるため、第三者としての立場になります。第三者ができる「ヘルプ」には限界があります。相手側(保険会社も含む)も第三者の問い合わせに答える義務がないので、話をはぐらかされてしまうこともあります。ちなみに、第三者はポリスレポートの請求ができません。
 「ヘルプ」は、代理店の業務ではなく、あくまで厚意です。大多数の代理店にはこのようなサービスはありません。したがってほとんどの場合は、「問題を早く解決するには、自分の保険を使う」ように勧められます。これが大多数なので前述の「一般的」という認識ができているのです。
 保険代理店の力を借りずにこれらの業務を第三者に委託したい場合は、自分のCollision(衝突)保険(日本でいう車両保険)を使う選択肢があります。ただし、免責額(加入時設定)は一時的に自己負担となります。この免責額は、加害者の保険から修理代金が返還された後に精算されます。
 万が一、加害者が保険に加入していなかった場合は、修理代の返還がなされないこともあります。これは、相手が100%悪いにもかかわらず、当て逃げ(加害者不明)などと同じく「請求不可事案」となり、自分のCollision保険でカバーするか、自己負担で修理するしかなくなります。

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