おうち時間をちょっと楽しくする
大石育子のくらしごと
ニューヨーク在住のみなさまの中には2年ぶりのUS オープンテニスの観戦を楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。先日のハリケーン「アイダ」ではニューヨークやニュージャージーなど6州が記録的豪雨に見舞われ、洪水で被害が拡大。 身近な友人のSNSで浸水の様子を見て、とても心配しております。少しでも早く復旧することを祈っています。 今月は、私が大のアンティーク好きになったきっかけのひとつ、スポング(Spong)のコーヒーミルについてお話したいと思います。
9月 スポングのコーヒーミル

家族の思い出。そして私の原点
コーヒー好きの父が毎週末、コーヒー豆を挽くときに使っていたのがスポングのコーヒーミル。姉と一緒に豆挽きのお手伝いをしていた頃の思い出の品です。ゴリゴリと豆を挽く独特の感触が手に伝わってきて、とても楽しかったことを覚えています。
使い方は、ちょっと面倒ですが、慣れたら簡単。下にあるレバーを机や棚の幅に合わせ、ラッパ状になった部分を上にして取り付け、コーヒー豆を上から入れて挽きます。受け皿は付いていなかったので、アンティークの小皿で代用していました。サイフォンでじっくりと淹れて、コーヒーを飲む満足そうな父の顔が今でも忘れられません。その後、コーヒーミルは、私が夫の仕事と共にニューヨークに移住する際に譲り受けたのですが、当時はこれがコーヒーマニアの間で人気になっていたとは知らず、つい最近になってその価値を知りました。父が使っていた当時から既に古いものだったと聞いているので、わが家でもこれから先、ずっと大切にしていきたいと思っています。アンティークの魅力と、丁寧に暮らすことの心地よさを教えてくれた、私の原点ともいえる一品です。
コーヒーマニア垂涎のコーヒーミル
スポングのコーヒーミルは、1895年ごろから英国で発売。世界最初のコーヒーミルといわれています。もともとは肉や香辛料を挽く機械(ミンチャー)を作っていた会社で、創業者のジェームス・オズボーン・スポングがそのミンチャーを転用したコーヒーミルを考案。その後100年以上も製造されました。このミルは鋳物鉄製で、1世紀以上使い続けられるほどの頑丈さ。1980年代にサルター(Salter)というキッチンスケールで有名な会社に買収され、「サルターミル」として販売されましたが、サルターが倒産したため、現在では入手困難となっています。初期のスポングのものはハンドルが赤のベークライト製。No.0からNo.5まで6種類あります。わが家のは2~3人分の豆を挽くNo.1です。サルター製は白木のハンドルなので、スポングの赤ハンドルはかなり希少品です。

今月のフィンガーフード
~サンマの炊き込みご飯~
手軽にできておつまみにもピッタリ、そして見た目も可愛いフィンガーフード。秋風が吹いてきた今月は、サンマの缶詰を使った炊き込みご飯を作ってみましょう。材料を炊飯器に入れるだけ、簡単にできます。

【材料4人分】
・米 2合
・サンマの蒲焼缶詰 1缶
・しいたけ 2~3個
・しめじ 半株
・ニンジン 1本(小)
・ネギ、ミョウガ、ショウガ、大葉など
【調味料】
・料理酒 大さじ1
・みりん 大さじ1
・しょうゆ 大さじ1
・和風顆粒だし 小さじ1
・昆布茶 小さじ1/2(あれば)
【作り方】
①洗米し、30分以上浸水させ水気を切っておく。サンマの蒲焼は身と汁に分けておく。ご飯の上に飾るサンマの身は1センチ幅に切っておく
②えのきとしいたけは食べやすいサイズに切る。フィンガーフードにする場合は通常より細かめに切っておくとよい
③ニンジンの皮を剥いて粗みじんに切る
④炊飯器に米を入れ、②と③、調味料、水、サンマの蒲焼缶詰の煮汁を2合の目盛りまで入れて軽く混ぜる
⑤サンマの蒲焼の身を入れ、炊飯器で通常通りに炊く
⑥炊き上がったら、ボウルにご飯を移して粗熱を取り、30グラムずつラップにとって丸めてから上下を平たくつぶして大葉を敷いた上にご飯を乗せて飾りのサンマの身を1つずつ乗せ、上から薬味をかける
★フィンガーフードにせずに普通にお茶碗に盛って食べる場合は、油揚げを入れると味にコクが出る。食べるときにごまや山椒の粉を軽く混ぜ込んでもおいしい。
★蒲焼はメーカーによって味が違うので、しょうゆやだしなどで塩分の調整を。
今月使ったおすすめアイテム
シリコンモールド
6ドル59セント~ Amazonの価格
フィンガーフードづくりに欠かせないのがシリコン製の型(モールド)です。シリコン製は金属製と比べて型を抜きやすいのが利点。また、個数が多くて抜きにくいものは型を半分に切れるので便利です。フィンガーフードは見た目の美しさがとても大切。今月のサンマの炊き込みご飯のようなものも、分量を量ってラップで丸めて形作ってもいいのですが、シリコンモールドに詰めて型を抜けば、大きさが均等になってさらに美しく仕上がります。フィンガーフードのちょっとした「裏技」とも言えますね。


筆者:大石育子
インテリアコーディネーター、食空間プランナー、英国式紅茶インストラクター。日本フィンガーフード協会認定講師。食空間プロジェクト(FSPJ)認定サロン、初級ディプロマ発行校Atelier de Ikuko New York主宰。「東京ドーム・テーブルウェアフェスティバル」特別審査部門で2019、2020年と2年連続入選、2020年、テーブルウェア・コーディネート部門入選、特別審査部門・奨励賞受賞。日本クラブカルチャー講座講師。
https://lit.link/atelierdeikukonewyork
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