帰国子女生の大きなサポートを担う日系学習塾、主要教科の指導や入学試験対策に留まらず、子ども達が前向きに学習を継続できるよう、サポート方法にも工夫が見受けられます。各塾での取り組みなどをご紹介します。
早稲田アカデミー ニューヨーク校
―塾の特徴をお伺いします
早稲田アカデミーNY校は、小学生・中学生向けの進学塾です。日本国内で受験をする方を対象としており、国内早稲アカ(首都圏に約190校舎)と同じ教材やテストを使用しつつ、カリキュラムや学習内容については、帰国生向けにチューンアップしております。早稲田アカデミーの教育理念は「本気でやる子を育てる」です。学習や受験に向けて本気で取り組むことを通して、何事に対しても、本気で物事に取り組む姿勢を身につけ巣立っていって欲しい。この理念の実践が、私たちの日々の取り組みです。
―帰国生が日本で受け入れられるために、アメリカでの学習・経験において生徒が意識した方が良いことなどありますでしょうか
文部科学省は、グローバル人材として必要な力を、以下の通り定義しています。
①語学力・コミュニケーション能力
②主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感
③異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティ
①については、こちらでの生活が長いほど、またこちらに住んでいる方との関わりが多いほど、身に着けやすいでしょう。また、日本国内のお子様と比較して、こちらに住んでいるお子様の方が、②の多くを鍛えられる機会が多いと思います。
突然ですが、「以心伝心」を英語にするとどうなるでしょうか。ずばり、「telepathy(テレパシー)」という訳しか当てられないそうです。この「空気を読む」という力は、日本人が持っている優れた感覚の一つだと思います。オリエンタルラジオの中田敦彦さんのお子様は、シンガポールでの生活で英語力は2年半で急激に上がり、多様性への理解度も増したそうです。一方、「日本語や日本の空気の読み方はどんどん忘れてきている」という不安要素もあるそうです。アメリカで暮らしているお子様には、日本語学習を通して「空気を読む」能力に必要とされる感覚を保持してほしいです。定期的に日本の本を読んだり、国語の問題を解いたりすることは、良いトレーニングになると思います。
上記③については、こちらでの生活が長いお子様だと、日本が「異文化」になってしまうかもしれません。定期的に、日本のことを知る、調べる、考えることが必要です。日本での受験に向けた学習は、そういったところにも役に立つのではないかと考えています。一方で、英語に目を向けると、中学・高校受験であっても、こちらで培った英語力は武器になります。私が日本で担当した多くの帰国生は、聞く力はもちろん、読むことも早く正確にできる生徒が多かったです。ただし、過信は禁物だと考えています。実際に受験問題を解く際、「こんな表現見たことがない。なぜこれが正解かわからない」と言っていた生徒が多くいました。英語を第2言語または外国語として学習する場合、語彙や文法のフレームワークは必須です。ここで得たネイティブ感覚と、語彙・文法を駆使した正確な英語力を組み合わせることで、受験はもちろん、将来につながる英語の力が身につくと考えています。

お話を伺った方
川村宏一さん
大学卒業後ずっと早稲田アカデミーで働き、今年で22年目です。最初の7年は、埼玉県で小中高生に受験指導をしました。その後本社教務本部で、高校受験部門の英語科目責任者として英語のオリジナル教材・カリキュラムの作成・テストの仕組みなど今の早稲アカ英語の基盤を作りました。7年後、英語専門校舎の運営(https://www.waseda-ac.co.jp/english/)を目的に新しい部署が作られ、その初代責任者として7年間勤務しました。今年の3月より、早稲田アカデミーUSAの取締役、NY校の現地代表として勤務しております。7-7-7と来ていますので、7年間の海外での勤務は覚悟しております(笑)。
早稲田アカデミー ニューヨーク校
1600 Harrison Ave, Suite 103
Mamaroneck, NY 10543
Tel 914-698-1100
https://www.waseda-ac.co.jp/abroad/school/newyork.html
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