星槎(せいさ)中学高等学校・北斗校(横浜市)との文化交流 NJ補習授業校

 

星槎(せいさ)中学高等学校・北斗校(横浜市)との文化交流

NJ補習授業校

 

あっという間に、うちとけあった生徒たち。今後のつながりも楽しみ。

 

10月21日土曜日、NJ補習授業校を、星槎中学高等学校・北斗校(横浜市)の生徒たちが訪れた。今回の訪問は、同校によるNew York 研修プログラムの一環。同プログラムは、2013 年にスタートし、昨年までの3年間はコロナ禍で中断を余儀なくされたものの、今年第8 回目を迎えた。  

当日は、一緒に「ミサンガ」を造ったり、「ソーラン節」を踊ったりしながら交流を深めるとともに、それぞれの発表(星槎 – Washington DCの桜に関する逸話, 補習授業校 – 日米のランチ違い)や対話を通じて、文化や生活習慣の違いについての理解を深めあった。本来は、昼食前までの予定のはずが、補習校生徒のリクエストで、一緒にランチもとるという“昼休み”まで加わる非常に楽しい交流となった。   

同校は、19日水曜日には、ノーザンバレーオールドタッパン校(“NVOT校”)も訪問。通算3回目となる今回の訪問では、書道、日本アニメ、着物の着付け体験や、羽根つき、けん玉などを楽しみ「日本の遊びブース」も設けられ、NVOT校高校生たちも童心にかえって大いに楽しんだ。星槎の生徒達は、身振り手振りも駆使して英語で、NVOT校生徒たちに、日本人の考え方や文化を伝えた。生徒たちは、今回の現地での交流を通して、オンライン上で学んできた多様な価値観や文化の違いを、実際に感じることができた。  

中学生活に馴染めず、より自由な校風を求めて星槎高等学校に入学した東使かなでさん(高2)は、“NVOT校の制服もない自由な雰囲気が、とても印象的だった。伯父・叔母が海外との繋がりが深かったので、これを機会にもっと海外と繋がれるようになりたい”と楽しそうに語ってくれた。これまでフランス、カタール、ヴェトナムなどを訪れた経験もあり、日本語、英語、スペイン語の3ヵ国語を話す佐藤至子さん(高1)も、同校の“生徒の出身国の多様さに驚いた。将来は、キャビンアテンダントとして、より一層世界をつなげたい”と語った。またプログラマーを目指す今西逸さん(高2)は、“言葉の問題はあったが、実際にニューヨークの迫力を感じられたこと、自分自身の価値観の拡がりを感じられたことがよかった。ただ、学校の食事は、日本の方がいい。”ともうすぐ母国に帰れる安堵感を感じさせながら語ってくれた。

ノーザンバレーオールドタッパン校でも人気を博した「ソーラン節」を披露する星槎の生徒たち

 

 

インタビュー:金子 肇 校長

佐々木 邦子 海外研修プログラムディレクター

金子 肇 
星槎大学教授
星槎中学校・高等学校校長
佐々木 邦子 
星槎中学校・高等学校顧問
海外研修プログラムディレクター

Q. 星槎中学高等学校は比較的若い学校ですが、設立の背景を教えていただけますか?

A. 日本では、近年、心に悩みを持ち、学校に通うことができない不登校の子供たちが増えています。そのような子供たちが「心の居場所として実感できる学校をつくりたい」ということで、内閣府より教育特区の認定を受けて、星槎中学校が2004年に、星槎高等学校が2006年に創設されました。現在では、文部科学省からも学習内容を認められている学校となっています。

Q. まず星槎中学高等学校の教育の特徴を教えていただけますか?

A. 星槎では、インクルージョン教育を非常に重視しており、「人を認める」「人を排除しない」「仲間を作る」という3つの約束を踏まえ、個々の特性を活かした、生徒一人一人に密着した教育を心がけています。同時に、星槎の建学の精神(「社会に必要とされることを創造し、常に新たな道を切り開き、それを成し遂げる」)に基づいて、社会に役に立つ教育を行うことを重視しており、四年制大学、短大、専門学校などへの進学率は、90%台後半となっています。また、今回のNew York研修プログラムも含めて、グローバルに目を向けていることも星槎の特徴だと思います。

Q. 具体的には、どのような形でそれらの特徴を実現されておられるのですか?

A. それぞれの生徒にあわせた学習内容・環境を提供するため、不登校特例校として、当初教育特区の認定を受けた時から、認定教科書を使わず、生徒の習熟度にあわせて作った独自のプリント教材を活用するとともに、学習場所も選べるようにと、通信制(オンライン教育)も提供しています。一方で、学校での教育が、子供たちの目指す将来に繋がっているという実感をもてるように、高校においては、企業との連携やインターンシップなど積極的に実社会と触れあえる機会を作っています。そのような個々の特性を活かした教育のために、各クラスは先生2名体制としています。また私の校長室を含めて、基本職員室も解放しており、私の校長室でも昼になると、学生たちが弁当をもって昼食雑談をしているような状況です(笑)。

 

Q. 通信制はどのようなプログラムですか?

A. 通信制高校プログラムを始めた当初は、生徒が20人だったのですが、おかげさまで現在は500名を超えるまでになりました。通信制を選ばれる生徒さんは、それまでの学校生活にあまり馴染めなかったり、既に明確なが決まっているために、自分磨きのための時間を最大限確保したいなど、様々なタイプがいます。

通信制は、週1日~週5日までの登校選択が可能で、当日の体調・希望によっても選択可能なのですが、少なくとも2~3日は実際に通われる生徒さんが多いですね。やはり、通信制の気軽さとともに、星槎の仲間とワイワイできる環境を楽しんでもらえているのだと思います。

Q. グローバル教育に力を入れておられるのも星槎中学高等学校の特徴ですよね?

A. 昨年亡くなった本校創設者でもある宮澤保夫名誉会長は、40年以上も前から海外との関りが重要であるということを唱え、今回のNY研修プログラムをはじめとした海外研修プログラムや公益財団世界こども財団の活動を行ってきました。また2015年には、「これからのこどもたちの未来のために、アフリカとアジアに橋=Bridge”をかけなければならない」という名誉会長の想いから、SAABSeisa Africa Asia Bridge)というイベントが生まれ、今年11月で9回目を迎えます。昨年の8回目には、コロナの影響でオンラインではあったものの、日本はもとより、ニューヨークから国連開発計画や、ウガンダ、セネガル、ミャンマーからの参加者など総勢37千人もの方々に参加いただきました。実際に、高校ではアフリカに関して学ぶプログラムもあります。また、横浜がウクライナのオデッサ市と姉妹都市であることもあり、11月には、紛争で苦しむウクライナからの生徒を受け入れたりもしています。

Q. 今後の目標に関しては、いかがですか?

A. 残念ながら、不登校生徒数は、2004年ごろの14万人ほどから、現在では30万ほどに倍増していると言われています。星槎でも、すべての生徒さんを受け入れられていないのが現状であり、もうすこし我々としても受け入れを拡げていく必要があろうと考えています。

またコロナも落ち着きましたし、海外との交流も以前にもまして、積極化していければと思っています。今回のNew York研修プログラムも、参加希望者が非常に多く、我々もホテルを変えてもまだ希望者全員を連れてくることはできなかったほどでした。ただ、やはり今回の研修を通じて、生徒たちも大いに感じるところがあったようですし、ぜひともこれを機会に、海外との交流を加速できればと思っています。

星槎高等学校HP https://www.seisahighschool.ed.jp

星槎中学校HP https://www.seisahighschool.ed.jp/jrh/

北斗校HP https://www.seisagakuen.jp/hokuto/


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