郵便遅配、鉄道・バス路線縮小、スーパー閉店—–衰退・縮小ニッポンはどうなっていくのか?(下)

新幹線、リニア新幹線という壮大な無駄

 ここまで述べてきたように、日本の縮小、国内経済の衰退は確実に進んでいる。しかし、最近のテレビメディアはそれを取り上げようとしなくなった。直近のテレビは、オオタニさん(大谷翔平)ばかりやっている。あとは、グルメ、お笑い、トーク、ドラマだけ。
 驚くのは、この3月16日に北陸新幹線が東京から敦賀まで結ばれ、JR福井駅で祝福イベントが行われたことを、全テレビが“祝福ムード満開”で報道したことだ。これだけ、全国の鉄道が衰退しているのに、いまだに「新幹線が来た」で歓迎ムードを煽っている。
 しかし、新幹線はいまや無用の長物である。インバウンドで来る外国人旅行客の観光・移動手段でしかない。それ以外、地域経済、ビジネスにほとんど貢献しない。
 今後、北陸新幹線は京都を経て大阪につながるという。さらに、北海道新幹線は、函館から札幌につながり、2030年の開業予定で、すでに工事が始まっている。
 新幹線建設以上に無駄で最悪なのが、「リニア新幹線」だろう。こちらは、東京―名古屋間が2027年開業予定で工事が進んでいるが、静岡県知事の馬鹿げた抵抗にあっている。それはそれとして、その後、2037年には大阪まで伸長し、東京―大阪間を最速67分で結ぶという。
 しかし、単に速く2都市間を移動してなんになるのか?人口減が進めば乗客も減るのに、いったいなにを運ぶのだろうか?

なにを考えているのか、いまさら書店保護

 私はこうして原稿を書き、ときおり本を出しているので、この業界のあまりに馬鹿げたことを、ここで書いておきたい。
 3月5日、経済産業省は、全国で減少する町の書店を支援する大臣直属の省内横断組織「書店振興プロジェクトチーム」を設置すると発表した。
 この発表の会見で、斎藤健経済産業相は、「(町の書店は)創造性が育まれる文化創造基盤として重要だ」としたうえで、「いまあるさまざまな政策をどのように活用している例があるか、創意あふれる工夫に光を当てていきたい」と述べたから、私は目が点になった。
 すでに書店は、デジタル社会の進展で、全国の市区町村のうち、地域に書店が一つもない自治体は約4分の1に達している。これは、当然の成り行きであり、そのことが、文化を後退させているなどということはない。
 それなのに、プロジェクトチームは、今後、書店経営者などへのヒアリングを行い、問題点を把握したうえで、支援をしていくというのである。
 町の書店は、郵便局、スーパー、ショッピングモール 、路線バスなどと同じく、人口減と時代の変化とともに自然消滅していくプロセスにある。それを無理やり、税金を使って生き延びさせようとする意味などあるだろうか。
 こんな愚策を臆面もなくやれるのは、自民党内に「街の本屋さんを元気にして日本の文化を守る議員連盟(幹事長は齋藤経産大臣)」という組織があるからだ。このような自民党内の議員連盟(=利権集団)は、いくつもある。
 彼らの頭のなかは「石器時代」(言い過ぎ。正確には昭和時代)であり、時間が停止している。時間が停止しているのだから、今後の日本をどうすべきかまったくわかっていない。

この続きは4月16日(火)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。 

※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

 

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

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