ニューヨーク市内にあるバス停は1万5000カ所を超える。シェルターがあるのは5分の1、街路樹が影を宿すのは3分の1に過ぎない。活動家団体「トランスポーテションオルタナティブズ」が「暑くてたまらない」バス停の実態調査をまとめた。12日、ニューヨークタイムズが伝えた。

12日午前、クイーンズ区リッジウッド Photo: Keiko Tsuyama
同団体は過去数年、各バス停での気温を観測し平均値を出して分析した。その結果、気温が高いバス停はクイーンズ区やブロンクス区の低所得者層地域に偏在し、周囲には黒人やラテン系の住民が多いことも判明した。高所得者層地域ではシェルターがなくても街路樹の影になったり、緑地や池が近くにあったりする。工場や駐車場は少なく、道幅も広く、気温上昇が抑えられる傾向にある。
暑くてたまらないバス停400カ所の半分はクイーンズ区に集中。同区内のバス停の67%に当たる。ブロンクス区にも気温が上がるバス停の27%がある。市内で最も気温が高くなるバス停100カ所は「Bx6」「Bx33」「B46」路線沿いに集中する。さらに、気温が上がるバス停400カ所の半分は市内でもアジア系住民が多い6地域と重なっていることも分かった。アジア系住民も影響を受けている。
気温が高いバス停と低いバス停の温度差は華氏で平均14.5度。座る椅子さえないバス停も多く、利用者からは「暑い中、立っているだけで息が詰まりそう」「夏にはバスが故障しがち。待ち時間がさらに長くなる」と不満の声が上がっている。
同団体で調査を担当したエム・フライデンバーグさんは「毎夏、気温が上昇し交通渋滞も深刻化する中、公衆衛生上の大問題だ」と指摘。高気温対策を講じる、バスの到着予想時間を表示する、暑い時間帯にラッシュ時並みの便数にするなどを提言している。市運輸局の広報担当官は向こう2年間で300カ所以上にシェルターを新設するとしている。低所得者層地域で利用客の多いバス停を優先する意向だ。
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