この記事の初出は2024年8月20日
副大統領候補ウォルズは「親中派」なのか?
ハリスの対中政策を考える場合、懸念されているのが、副大統領候補ティム・ウォルズの存在だ。これまでの実績を見ると、ウォルズはハリス以上の左派で「急進的左翼」と呼ぶメディアもある。ウォルズは下院議員時代に労働者寄りの法案を徹底して支持しており、ミネソタ州知事としては、昨年、同州の不法移民に運転免許証を与える法案に署名している。
このようなことから、トランプ陣営は、ウォルズを危険な左派としたうえで、「親中派」(パンダハガー:Panda Hangers)とも言い始めた。それは、ウォルズが天安門事件が起きた1989年から1990年にかけて、中国広東省で英語教師をしていた経験があること、2016年のあるインタビューで「中国と必ずしも敵対関係である必要はない。協力できる分野も数多くある」と発言していたからだ。
これを取り上げて、トランプの側近の1人リチャード・グレネル元ドイツ大使は、「中国共産党はウォルズの副大統領候補指名に喜色満面だ」とSNSに投稿した。
しかし、ウォルズが本当に親中派であるかどうかはわからない。それよりも、ハリスの母親が中国とは敵対的なインド出身であることのほうが、私には重要だと思える。
対中強硬派エマニュエル駐日大使の政権入り
もう1人、ハリス対中政策に関して重要と思われる人物がいる。ラーム・エマニュエル駐日大使である。彼は、生粋の「ドランゴンスレイヤー」の1人として知られ、これまで日本の対中政策に大きな影響を与えてきた。
先日、長崎が主催した「原爆の日」の平和祈念式典にイスラエルを招待しなかったことを理由に、西側諸国の大使とともに欠席して 一躍、時の人となったが、彼がハリス政権に入る可能性が高いのである。
共同通信の9日の報道によると、エマニュエルは11月下旬に離任する意向を周囲に伝えているという。、サンクスギビング前後に日本を離れ、その後はハリス政権が誕生した場合、政権入りするという。
以上をまとめると、ハリス政権になろうとトランプ返り咲き政権になろうと、日本は中国を敵視する政策を続けざるを得ないということになる。
早くもハリス政権の閣僚ラインナップを予想
気が早いもので、ニュースサイト「Axios」は、なんと「ハリス政権」の閣僚ラインアップを予想、紹介している。以下、それを紹介して、今回のメルマガの終わりとしたい。
▼大統領首席補佐官:ジェン・オマリー・ディロン(次席補佐官)orエリック・ホルダー(元司法長官)、
▼大統領補佐官(国家安全保障担当):フィル・ゴードン(副大統領補佐官)orトム・ドニロン(元大統領補佐官)
▼国務長官:クリス・クーンズ上院議員(デラウエア州選出)orビル・バーンズ(CIA長官)
▼財務長官:ジーナ・レモンド(商務長官)
▼国防長官:ミッシェル・フロノイ(元国防次官)、
このうち、ジェン・オマリー・ディロン、ジーナ・レモンド、ミッシェル・フロノイの3名が女性である。
ハリス政権は、これまでのアメリカの政権とは顔ぶれにおいて大きく違う政権になるのは間違いない。(了)

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山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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