ニューヨーク市を含むアメリカ東北部に21日、ついに待望の雨が降った。90日以上雨らしい雨がなく、市内では22年ぶりに渇水注意報が発令されていた。しかし、アメリカ国立気象局は「助けにはなるが、十分ではない」としている。同日、ニューヨークタイムズが伝えた。

降雨はあったが、市の貯水池が60%程度の水量にとどまっている。この時期であれば80%は必要だ。11月1〜14日の間に市内で森林火災が271件発生。消防局は専門部隊を編成し、ドローンなどで防火活動を強化している。
アダムズ市長は節水を強制する「緊急事態宣言は避けたい」として市民の協力を要請。「歯ブラシやひげそりの際、水を流しっぱなしにしない、シャワーの時間は短めに」と訴えている。シャワーヘッドからは毎分2.5ガロンの水が落ちてくる。個人の節水努力としては最も効果的だ。バスタブの水量も半分程度にしておきたい。
水洗トイレの水量も平均1.6ガロン。不必要に流さないようにしたい。水漏れしているパイプや蛇口は修理を。屋外の植物への灌水も止める。芝生が黄色く変色しても冬枯れに過ぎないと専門家は指摘している。
さらに火災予防の努力も必要だ。落ち葉や枯れ枝はコンポスト容器に入れて歩道脇に出すように。公園での喫煙は禁止されている。市内では花火も違法だ。アダムズ氏は屋外でのバーベキューや「七面鳥のディープフライは自粛してほしい」と話している。
地球温暖化の影響で、今回のような日照りが頻発し、しかも深刻化する懸念がある。ニューヨーク、ニュージャージー両州の境界で発生したジェニングスクリーク火災では5300エーカーの森林が消失した。
アッパー・ウエスト・サイドにある靴修理店には1本8〜25ドルの傘が並ぶ。「10月は1本も売れなかった」という店主のペドロ・スアレスさん。今朝は空を見上げて、にっこり笑った。
編集部のつぶやき 「雨に唄えば」
ニューヨークの干ばつは、珍しい。加湿器の売れ行きがいいようだ。昨年のカナダの山火事による大気汚染など、気候変動の影響を受けることが多くなってきた。昨晩遅く、傘をさして帰宅中、ご近所の歴史教師ホゼ(40)に会ったら「傘だ、しかも濡れている!」と言って歌って踊り出した。すぐにブロードウェイみたいなシーンになるのもニューヨーク。(K.T.)
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