11月15日(金)に、「地上最凶の男」がリングに戻ってきた。そう、あのマイク・タイソンが58歳にして、19年ぶりにボクシング公式戦に臨んだのである。相手はアメリカの人気ユーチューバー、ジェイク・ポール。全米だけでなく、全世界が注目することとなった世紀の一戦は、ネットフリックスによって生中継された。
注目度が高い試合は、当然ブックメーカーでの賭け対象としても人気となる。ところが、ニューヨーク州では賭けることさえ叶わなかった。どうしても賭けたいニューヨーカーは合法的に賭けることができる近隣の州へ出向くか、VPNを駆使してオンラインブックメーカーで賭けるほかなかったのである。特にギャンブル 期待値 一覧の中でも高いとされるスポーツベットで、しかも伝説的なマイク・タイソンのマッチとあれば賭けたくてウズウズしていたニューヨーカーも少なくないはずだろう。では、なぜこんなことになったのだろう?
ニューヨークでスポーツベットは違法ではない
そもそもニューヨーク州ではスポーツベットが合法化されている。といってもこれはわりと最近の話で、2018年に米国最高裁判所がPASPA法(プロフェッショナル・アマチュアスポーツ保護法)を違憲と判断したことで、ニューヨーク州もスポーツベッティングの合法化に向けて動き始めたのだ。
その後2019年7月に州内の一部の商業カジノでスポーツベッティングが正式に開始されたのに続き、2022年1月にはオンラインブックメーカーでのスポーツベットも解禁された。
ニューヨーク州ゲーミングコミッションによる規定
ニューヨークは、スポーツベットが合法化されている38州のうちで、今回の試合に賭けることができなかった7州のうちの1州になってしまった。その理由は、こうである。
今回のマッチはテキサスのAT&Tスタジアムで行われ、テキサス州認可規制当局によって4月に正式なプロのヘビーウェイトマッチとして認められた。しかし1ラウンド2分、14オンスグローブを使用するという変則的なルールで行われたのである。ちなみにテキサスでのチャンピオンシップボクシングマッチは通常、12ラウンド各3分、10オンスグローブ使用である。
ところが、ニューヨーク州ゲーミングコミッションの規定によると、スポーツベットの対象となるボクシングの試合は、ボクシング・コミッション・コンバティブ・スポーツ協会が定める統一ルールに則っていなければならない。つまり、統一ルール通りの1ラウンド3分制、10オンスグローブ使用でなかったためにベット対象から外されてしまった。
アメリカが各州によって法律に違いがあるのは承知のとおりだが、それでもここまで細かい規定があることには驚きである。とにもかくにも、これがニューヨーク州ゲーミングコミッションによる正式な声明であった。せっかく長年の夢が叶ってスポーツベットが解禁されたのに、今回のマッチに賭けられなくて歯がゆい思いをしたニューヨーカーは少なくなかったことであろう。
結果はタイソンの判定負け
当たり前だがニューヨークのスポーツベットに関するゴタゴタが影響することなく、試合は無事に開催された。結果は、ジェイク・ポールが3-0で判定勝ち。前評判通り、持病を抱えた58歳のタイソンは31歳年下の27歳若者を往年の力でねじ伏せることはできなかった。
まとめ
結果的に、ボクシングの試合としてはイマイチ盛り上がりに欠けるものとなってしまった。ベットできずにほぞを噛んでいたニューヨーカーも、あるいはそれほどモヤモヤせずに済んだのかもしれない。
いずれにしろ、これがニューヨークでマイク・タイソン対ジェイク・ポールに賭けられなかったことの真相である。
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