ニューヨーク市民の約4分の1が生活必需品を購入するのに困難な状態で、医者にかかる余裕がないとの報告書がこのほど発表された。州や市の貧困対策が不十分だとする声が上がっている。ニューヨーク・タイムズが26日、伝えた。

報告書はコロンビア大学と反貧困団体ロビンフッドが3000世帯の収入や支出などを13年間にわたり調査、分析してまとめたもの。市内の貧困層の全体に占める割合は2023年、全米平均の約2倍。2年前より7ポイントも上昇している。報告書は、市内の生活費を加味して、夫婦と子ども2人の賃貸世帯で貧困層のボーダーラインを年収4万7190ドル以下と定義。子どもの26%、約42万人が貧困層にあるとしている。さらに、貧困層の割合は、黒人、ラテン系、アジア系が白人よりも2倍になっていることも判明した。
原因はコロナ下での政府補助金が途絶えたこと。働いていても、収入が家賃や食費、医療費の高騰に追いついていけない実態が明らかになった。ロビンフッドのCEO、リチャード・ビュエリーさんは「富裕層が多い市内は、貧困層も多い。これは全て人間が作り出した問題だ」と指摘。市内でシェルターを運営するウィメン・イン・ニードの副社長クリス・マンさんも「低所得者層に対するサービスに投資しようという政治的意思が欠落している」と批判している。
ニューヨーク州のホークル知事は今年の施政方針演説の中で、貧困対策として多くの市民を対象とした減税や妊婦への毎月100ドルの助成金と1200ドルの育児一時金を予算に盛り込んだ。ホークル氏は市民に所得に応じて500ドルの税還付金を支給する案を発表したが、州議会では高齢者のために使うべきとの反対意見が出ている。アダムズ市長も昨年、低所得層40万人を対象とした減税を提案。市議会も貧困層向けの住宅新設を企画。低額家賃ユニットを含めることを条件に、大型開発計画を許可するなどの施策を検討している。
編集部のつぶやき
地下鉄内で一家が寝泊まりしていたり、退役軍人がホームレスになっていたり各所で見る「貧しさ」の姿。州は減税や各種サービスを増やしているが、申請が壁になって貧困層が恩恵を受けていない。(K.T.)
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