STEM(科学・技術・工学・数学)分野のジェンダー格差は依然として大きく、特に成長産業であるコンピューターサイエンスやエンジニアリングでは男性が女性の2倍以上を占めている。偏った採用慣行や不平等な子育て環境など構造的不公平の皺寄せとの意見もあるが、性差別というよりも男女の優先事項に関係しているからかもしれないとするオーストラリアの社会学者ウィリアム・フォン・ヒッペル氏の考えが6日付ウォール・ストリート・ジャーナルに掲載された。

ヒッペル氏によると、さまざまな研究から女性は意図的にSTEM分野を避ける傾向があり、これは男女の興味や優先事項の違いに由来すると考えられている。例えば、ジェンダー平等が進んだ北欧諸国では、女性のSTEM卒業者の割合が20%程度であるのに対し、男女平等がそれほど進んでいない中東や南アジアでは40%を超えることがある。これは、経済的要因が進路選択に影響を与えていることを示している。
また、過去50年間に実施された数多くの調査から、女性は人と関わる仕事に興味を持ちやすく、男性はハンマーであれコンピューターであれ、物を操作する仕事に就くことを好む傾向があることが判明している。さらに、女子生徒はSTEM分野だけでなく、言語や社会科学の成績も良いため、幅広い選択肢を持つ。一方で、男子生徒は読解力が低い傾向にあるという。
ヒッペル氏は、「STEM分野での女性の参入を促す取り組みは重要だが、それが必ずしも効果を生むとは限らない」とし、むしろ「女性の仕事とされる看護や教育の価値を高める(賃金を上げる)ことが必要」と提言。「AIはまもなく、ほとんどのSTEM分野において人間を凌駕するようになるかもしれないが、思いやりや人間的な触れ合いを必要とする仕事は置き換えることはできないだろう」と述べている。
編集部のつぶやき
「今後有望な仕事=高収入が期待される仕事」の上位にランクインすると、それまで女性中心だったキャリアに男性がドッと流入し、給料も上がるそうです。一方で、上記WSJの記事によれば、女性のキャリアの割合が増えると、それらの職種の賃金が下がり始めたことも分かったそうです(1950年から2000年までの職業別賃金水準の分析結果)。市場原理を超えるケア労働の価値の是正が急務です。(A.K.)
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