トランプ大統領が2日発表した「ユニバーサル関税」と「相互関税」。このためにアメリカ国内で輸入商品全般が値上がりするとの懸念が広がり、「買いだめ」に走る消費者が増えている。3日、ウォールストリート・ジャーナルが報じた。

経済学者の多くは、関税は製品価格に転嫁されると指摘。実業家でTVパーソナリティーのマーク・キューバン氏はSNS上で「歯磨き粉チューブから石鹸まで、なんでも蓄えられるだけ蓄えろ」とはっぱをかける。「米国産品も便乗値上げされるに決まっている」と続ける。
シーダー・ローチさんはトランプ氏の発表をラジオで聞くと早速、ルルレモンのウエア(カナダ製)とハウスオブサニーのセーター(英国製)を購入。「値上がりしそうなもの、自分が欲しいものは分かっている。一刻を争う」とローチさん。合計で394ドルだ。ボーイフレンドはギネスビールを買いに走った。6本入りを3つも抱えて戻ってきた。
2日午後から3日深夜まで、電化製品や車のパーツなど3000ドル分を買い漁ったのはニューヨーク在住のノエル・ペグエロさん。「買うなら今」と、残り1台と言われた中国製テレビを手に入れてニッコリ。ニューオリンズのアンドレア・サナブリアさんは「先行き不安」とコストコで大人買い。外食は一切控えるという。
ロサンゼルスのウェンディー・ウォルシュさんも壁に取り付ける燭台から流しの栓まで578ドル分を購入。「当面は大丈夫」と胸をなでおろす。アリゾナのケリー・ロングさんは、子供のためにカナダ製の喘息用呼吸器を買いだめ。見積もりは48時間だけ有効と言われて屋根の張り替えを注文した。資産アドバイザーだけに「買いだめしてもいいけど、借金だけはすべきではない」と話している。
ジャミング・ジュさんは漢方薬会社のCEO。ロサンゼルスに住んでおり、火災で家を消失した。コロナでサプライチェーンが分断された上、今度の関税と災難続き。しかも、一体いくらの関税がかかるのか分からない。「3倍、4倍、それ以上になるかもしれない」と漢方薬を追加注文。さらにアジア系食材のオンライン注文システム「Weee!」で、しょうゆ20本、オイスターソース10本、そして海苔を大量に注文。15年前に中国から移住したジュさん。「世界のものが手に入るのが米国の良いところ。でも、それも過去のものになるかも」と顔をしかめる。
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