皆さん、今週も一週間お疲れさまでした。いよいよ5月。NYに新しく来られた方々も、そろそろ慣れてこられた頃でしょうか。今週末は、日本がゴールデンウイークということもあり、天気もいいですし、ちょっとのんびりぶらぶらしながら、忙しかった最近をふりかえってみるのもいいかもしれないですね。
引き続きアメリカの大学は、いろいろと政権との軋轢に苦労していますが、アメリカのサイエンスが強くなった歴史のわかりやすい解説があったので、ご紹介させていただきます。
Fareed Zakaria氏の『GPS』という世界的な外交問題をあつかうプログラム(CNN)で、いつも彼の所見から始まるのですが、今回は「トランプによるサイエンスへの攻撃は、アメリカの強さの支柱を破壊している」というテーマでした。今でこそ、テクノロジーで世界をリードし、ノーベル賞受賞者を圧倒的な数で抱えるアメリカですが、そもそも20世紀初頭(1930年ぐらいまで?)、アメリカ企業は、イギリスの産業界から、技術の盗用やパテント違反で非難を受けるほどの技術力で、ノーベル賞(1901年創設)の科学分野においても、ドイツやイギリスに大きく後れをとっていました。それが、今日のように、世界的で圧倒的な地位を占めるようになった理由を3つにまとめています。
一つ目は、積極的に優秀な科学者を世界中から受け入れてきたことです。まず、ドイツにおけるヒトラーのユダヤ人迫害が起こった際に、多くのユダヤ人がアメリカに移りました。優秀なユダヤ人科学者を受け入れたことが、後のアメリカのサイエンス基盤を作ることになりました(Einsteinなど)。次に、1965年に移民法の改正です。これにより、中国やインドなどのアジアから、より多くの優秀な学生や科学者を受け入れました(今のテック企業のCEOの出身をみても明らかですよね。。。)
二つ目は、第二次世界大戦により、ヨーロッパが焼け野原となるなかで、アメリカが世界の工場としておおいに産業が栄えたことです。このなかで、サイエンスもおおいに発展しました。(Golden Age of Capitalism; 1975年のアメリカGDPは、世界の3分の1を占め、2位の日本の3倍以上の大きさですからね。日本の回復も凄まじいですが。。。)
三つ目は、アメリカ政府が、基礎科学分野において、政府自身が主導するのではなく、民間、特に大学などのアカデミアに、プログラム運営を委ねて、財政支援という役割に徹してきたことです。NIHのような団体から、研究支援資金を得るために、大学は競って、研究に力を入れました。
要は、①ドイツによる“自爆”(一つ目と二つ目)を活かし、②世界中の知能を活用するインセンティブ・スキームをうまく作った(三つ目)、③そして“運”(全然想定していなかった形で、法律の効果が出た。。。)ということかと思います。一方で、昨今の政権のアカデミアへの干渉により、これらのトレンドが逆流していることを、Zakaria氏は指摘していました。Nature誌による1,200人のアメリカの科学者への最近のアンケートによると、なんと75%がアメリカを離れることを考えているとのことです(行き先はフランス、中国、オランダが上位)。やはり、研究者は、やりたい研究を自由にやらせてくれる環境が一番うれしいんでしょうね。それをうまく活用し、世界中から人を集めてきたのがアメリカだったと思いますし、それが世界の一体化にも繋がっていたんでしょうね。
以上は、ほぼ一世紀ほどの時間軸で見ていますが、さてさてこれを日常の行動の時間軸に落とすとどうなるか、、、なかなか難しい問題ですね。ただ、教育においては、今の子供たちがリーダーになっていくのに1世代(30年)ほどはかかると思うので、ちょうどいい視点かもしれないですね。
では、引き続きのんびりとした週末をお過ごし下さい。くれぐれも花粉症にはお気を付けのうえ。。。
代表 武田 秀俊
今週の1枚

スイミングクラブでは、年度の打ち上げパーティ。
いまだに、なかなか複雑な季節感です。。。
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