ニュージャージー補習授業校(ニュージャージー州パラマス、小田切利幸校長)高等部は4月12日、NPO法人イルファー(ILFA=RInada-Lange Foundation for AIDS Research)代表の稲田頼太郎博士を迎え、特別講話「エイズの歴史、半世紀」を開催した。イルファーはケニアで25年以上にわたり、HIV/AIDS医療のモデル構築と地域医療の最前線で活動を続けている。

稲田博士は、1980年からHIV/AIDSの治療および基礎研究を開始。90年代には医師として働く傍ら同校で教鞭を取っていたこともあり、今回の講話は帰国中の貴重な合間を縫って実現した。講話は高等部国語科の授業に組み込まれ、生徒たちは事前に稲田博士の歩みを学び、講話後にはディスカッションも行った。
稲田博士は、予防法が周知され治療法が確立し治療薬が入手しやすい日本やアメリカなどの先進国では、HIVやAIDSについてニュースで語られる機会が減っているが、ケニアなどの開発途上国では今も深刻な問題であると説明。「患者の命を救うだけでなく、現地の医療者を育てることが持続的な解決への道」と強調した。
生徒からは「LGBTQについては知っていたが、HIVについてはほとんど知らなかった。自分の無知に気づかされた」「ケニアの現実を知って、日本での生活がいかに恵まれているかを実感した」「人の命を直接救える医師という職業に改めて感動し、自分の命をどう使うのか、自分の進路について考えるきっかけになった」など、熱が入った感想が寄せられた。
将来は世界を舞台に活躍したいと願う生徒たち。貧困に苦しむケニアでHIV医療に尽力する稲田博士の“生きざま”にふれ、「どう生きるか」という本質的な問いに向き合う貴重な機会となったようだ。生徒の感想を録画した動画は、ケニアに戻った稲田博士にも送られた。(情報・写真提供:ニュージャージー補習授業校)

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