2025年7月5日 COLUMN 編集後記

7月5日【気になったニュース】One Big Beautiful Bill – 逆に、ますますアメリカの“余裕”がなくなる???

独立記念日の花火。花火が好まれるのは、万国共通のようですね。“独立”を祝うことも重要ですが、“(戦わなくてすむ)平和”が続いていることに対する祝いを増やしてもいいような。来月は、いよいよ戦後80周年。

皆さん、独立記念日の週末をいかがお過ごしでしょうか?周りと一緒に、遠出をされて気分一新されていますか?それとも、少し人の少なくなったニューヨークでゆっくり楽しまれていますか?もしかして、BBQでホットドッグの早食い競争なども?(今年も、須藤さんが勝ちましたね。)

独立記念日の4日、トランプ米政権の減税・歳出法(いわゆる“One Big Beautiful Bill”)が成立しました。“Beautiful”かどうかは別として、“Big Bill”というだけあって、トランプ減税の延長、チップに対する課税の廃止、債務上限の拡大、低所得者向けヘルスケアサービスの厳格化、グリーン・エネルギーへの援助削減と化石燃料事業の積極化、移民対策の強化、連邦政府教育ローンの変更などなど非常に多くの要素が盛り込まれています。現時点では、アメリカ国民の過半数がこの法案に反対しているものの、中身が多すぎて、来年の中間選挙に向けては、やはり分断化された国内政治を反映した評価になるようにも感じます。

全体感としては、アメリカの景気は、世界的にみると、非常に好調であるにも関わらず、慢性的な政府財政赤字がますます増えるということだと思いますし、これは今後の対外政策にも影響をあたえると思います(そうでなくても?)。法案成立により、年度財政赤字は、昨年度のGDP比6%から、10年後の2034年には9%まで増える見込みです。(ちなみに、あのリーマンショック後に積極財政拡大を行なった水準が、GDP比10%です。)

支出項目をみても、アメリカの財政も、防衛費を除く裁量的支出は15%程度しかないために、この恒常的な年度財政赤字をとめるのは、非常に難しいと思われます。社会保障費(FY24全体支出の約22%)は今後ますます増えますし、昨今の地政学リスクを考えると国防費(約13%)も。民主党だと、今回削減されたMedicaid(約13%)などへの社会保障関連支出は戻るでしょうし。そうすると、やはり恒常的なインフレの高まり、高止まりということになるかと思います。より一層、“力の時代”になりそうですね。(この場合は、インフレに応じて、収入が増える人と増えない人の力の差)

一方で、アメリカのこの財政政策が異常なのかというと、日本と比べるとまだまだという感じではあります。日本の今年度の歳出は、歳入比で60%以上オーバーしており(100の収入に対して、160使っている。。。)、アメリカでは同法案成立後でも40%弱の水準です。また、GDPに占める負債の割合も、日本は250%を超えており、アメリカはまだその半分程度です。ただし、政府の財政状態において、余裕がないのは、両国同じですが。。。

もちろん、絶対的な金利差や国債における国内引受比率といった違いはありますが、アメリカの今回の法案成立を機に、むしろ財政を見直さないといけないのは日本かもしれません。今回の関税ではないですが、自国に“余裕”がなくなってくると、周りに寛容になれないばかりか、周りにあたるのは世の常ですし(ドラえもんのなかのジャイアンでも)、“余裕のさらにない”日本は、より一層“アメリカ一国頼み”の構造からの脱却を急がないといけないように思います。(それか、ドラえもんを開発するか。)

私の町では、競合をさけて、独立記念日の花火大会は、独立記念日前日に行われる予定だったのですが、雨で日曜に順延されました。なんとなく祝日が3日間にのびたようで、得した気分です。では、皆さんも、引き続きよい独立記念日の3連休をお楽しみください。

代表 武田 秀俊

今週の1枚

独立記念日の花火。花火が好まれるのは、万国共通のようですね。
“独立”を祝うことも重要ですが、“(戦わなくてすむ)平和”が続いていることに対する祝いを増やしてもいいような。
来月は、いよいよ戦後80周年。
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