破壊的なリストラによってはじめて再生する
トランプ政権はとんでもない政権だが、イーロン・マスクの提言で「政府効率化省」(DOGE)をつくり、公務員のリストラ、無駄な政府予算のカットなどを行ったことだけは評価される。
ただ、この政府リストラがリベラル弾圧になり、本来の政府リストラにならなかったことは残念だが、「小さな政府」という路線は間違ってはいない。そして、この路線はいまの日本にもっとも必要とされるものだ。
人口減に合わせて社会経済をダウンサイジングする。もはや、そうしなければ日本は持続しない。日本経済はいったんは収縮するが、そこから再生する可能性が残される。企業もそうだが、借金では再生しない。破壊的なリストラによって、はじめて再生するのだ。
消費減税ができても防衛増税が待っている
さて、仮に消費減税が実現したとしよう。野党は、それにより消費が伸び、税収も増え、日本経済は良くなると言うが、絶対、そうはならない。
なぜなら、この先は、すでに決まっている増税が待っているからだ。防衛費増額のための、防衛増税である。
防衛増税に関しては、「防衛特別法人税」「防衛特別所得税」「たばこ税」の3つが予定されており、「防衛特別法人税」は先行しに閣議決定されて2025年度税制改正大綱に盛り込まれた。
この3つの増税の概要は、「防衛特別法人税」による法人税4%アップ。「防衛特別所得税」による所得税1%アップ、「たばこ税」が1本あたり3円アップというもの。ただ、これだけは足りず、さらなる増税が必要になるのは明白だ。
「五公五民」はマヤカシ、本当は「六公四民」
もう誰も実感しているが、日本は世界的に見てかなりの「重税国家」である。すでに、江戸時代と同じ「五公五民」と言われているように、国民負担率は46.2%(令和7年度)に達している。
国民負担率は、所得に占める税金と社会保険料の負担割合を示す指標で、欧州諸国はおしなべて高く、50%を超えている国も多い。
しかし、これは、福祉と公共サービスが充実しているからであって、日本のように低福祉、低公共サービスの国が約5割というのは、政府があまりに非効率で“金食い虫”だからである。
しかも、日本の国民負担率には、将来の国民負担になる公的債務が含まれていない。これを含めると国民負担率(潜在的国民負担率)はなんと62.7%にも達している。「五公五民」どころか、「六公四民」である。
これから社会に出る若者たちの将来は、本当に悲惨である。いったいなんのために働くのか?まったく報われない人生が待っている。だから、私は、若者たちには、なんとしてもこの日本を出るべきだ。そうして、現在の政治家が一掃されて、本当の改革が始まったときに戻ればいいと言っている。
(了)
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山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。
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