海外で暮らす日本人家庭にとって、「帰国生入試」は、子どもの未来を切り拓く大きなチャンスです。しかしその一方で、出願時期や入試形式が多様であるため、準備の遅れがそのまま結果に響いてしまうケースも少なくありません。そこで今回は、秋以降の具体的な対策について、現地学習塾の立場からアドバイスをお届けします。
1.秋からの学習計画の立て方
秋以降は「実践力の強化」と「時間管理」が鍵になります。特に12月から2月にかけての帰国生入試本番までの期間は限られており、過去問演習と弱点補強をバランス良く進める必要があります。9月には全体の学習スケジュールを一度見直し、「いつ・何を・どれだけ」取り組むかを明確にしておきましょう。
2.模試や過去問の活用方法
模擬試験は単なる「実力試し」ではなく、「志望校との距離を測るレーダー」です。結果を客観的に分析し、出題傾向や時間配分の課題を洗い出すことが重要です。併せて過去問演習も必須です。特に学校ごとの出題形式や記述スタイルを把握することで、対策の質が格段に向上します。過去問は「解く」だけでなく、「分析する」「自分なりに再構成する」ことが大切です。
3.出願・書類準備のタイミングと注意点
帰国生入試では出願開始が10月~11月と早く、願書や志望理由書、在籍証明などの書類も多岐にわたります。海外からの郵送には時間がかかるため、9月中には必要書類をリストアップし、学校や現地機関への依頼も早めに行いましょう。特に英語資格(英検など)のスコア提出が必要な場合は、スケジュールに余裕をもつことが重要です。
4.面接や作文などの実践対策の始め方
秋以降は面接や作文などの「表現力」対策も本格化させるべき時期です。自己紹介や志望動機を中心にした模擬面接を繰り返すことで、言葉に自信がつき、当日の緊張が和らぎます。また、作文では「帰国生としての経験」や「将来の夢」など、自分らしさをどう表現するかが問われます。日々のニュースや読書を通じて語彙や表現の幅を広げましょう。
5.秋から帰国するご家庭へのアドバイス
秋に本帰国されるご家庭にとっては、限られた期間で準備を整える必要があります。帰国前に出願書類や受験スケジュールを整理し、必要な証明書やスコアを確保しておくことが肝心です。また、帰国後は生活の変化に戸惑う子どもも多いため、心身のリズムを整えつつ、現地塾やオンラインサポートを上手に活用して、無理なく学習に移行するようサポートしてあげてください。
おわりに
帰国生入試は、早めの準備と的確な戦略で合格の可能性が大きく広がります。現地にいる間にできること、帰国後に備えるべきこと、それぞれを丁寧に進めていくことが、第一志望への道を切り拓く確かな一歩となるでしょう。
稲田アカデミー ニューヨーク校
https://www.waseda-ac.co.jp/abroad/school/newyork.html
早稲田アカデミーNY校 川村宏一(かわむら こういち)

早稲田アカデミーUSA取締役・NY校現地代表。2002年に早稲田アカデミーに入社後、校舎で7年間にわたり講師を務め、その後、高校受験部門で英語科目の責任者を担当。現在の早稲アカ英語科システムの礎を築いた後、国際部に異動し、英語専門校舎の統括責任者に就任。2023年3月から現職。早稲田アカデミーの教育理念である「本気でやる子を育てる」を、海外においても実践している。お問い合わせはこちらまで(メール:newyork@waseda-academy.com)
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