円安や原材料費の高騰で、日本では飲料の値上げが続く。アメリカでもコカ・コーラやペプシコなど大手メーカーがソーダやジュースの価格を引き上げ、飲料全体に値上げの波が広がっている。それでも、コストコのプライベートブランド「カークランド」のペットボトル入り飲料水は今も 1本10円台。なぜここまで安さを守れるのか? 理由を探ってみた。

◆ 根強い人気「カークランド」とは?
カークランドは「高品質を手頃な価格で提供する」ことで知られるブランド。ウオッカやコーヒーなど、一部商品は有名ブランドが製造を担い、会員の間で熱狂的な人気を博してきた。中には「大容量のカークランドウオッカは高級ブランド『グレイグース』と同じだ」と語るファンもいる。
派手さはないが、カークランドのペットボトル入り飲料水はその中でも特にリピーターの多い商品だ。低価格でありながらクリーンで飲みやすい味わいが特徴となっている。
そんな同商品の製造を担っているのは、カリフォルニア州の ナイアガラボトリング(Niagara Bottling)社。1963年に設立され、90年代からコストコ向けの水を供給。現在はウォルマートなど他社のPB商品も手がける、全米最大級のボトルドウォーターメーカーとなっている。

水は井戸水や湧水、自治体の水源などから調達し、微細ろ過(マイクロフィルトレーション)や逆浸透膜処理を経て浄水。必要に応じてミネラルを加え、クセのない飲みやすい味を実現している。
◆ なぜこんなに安いのか?
実際にアメリカのコストコでは、500ml×40本入りケースが2.99〜4.19ドルで販売されており、1本当たりにすると 9〜14円前後という価格を実現している。
低価格の背景には、以下の仕組みがある。(1)コストコの大量仕入れ・大量販売によるスケールメリット(2)広告費を抑えるプライベートブランド戦略(3)ナイアガラ社による効率的な大量生産体制。
「安くて品質がいい」を象徴するこの水は、コストコのPB戦略を最もよく表す商品であり、今後も多くの会員から支持を集め続けるだろう。
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