9/11同時多発テロ関連のがんと診断されたファーストレスポンダーやその他の関係者の数が4万8579人となり、5年間で143%と驚異的に増加していることが世界貿易センター(WTC)健康プログラムの最新データから判明した。6日付のNYポストは、がんに苦しむファーストレスポンダーの声を伝えている。

皮膚がん、前立腺がん、乳がんが最多を占め、悪性黒色腫、リンパ腫、白血病、甲状腺がん、腎臓がん、肺がん、膀胱がんが続く。これらはグラウンド・ゼロやスタテン島のフレッシュキルズ埋立地で検出された有害物質によって引き起こされたと推定されており、救助隊員の高齢化もがん急増の一因と考えられている。
クイーンズカレッジの職業医学専門家、スティーブン・マルコウィッツ博士は「対象集団が高齢化していることは明らかで、がん患者数が増加すると予測できる」と話す。米疾病管理予防センター(CDC)の広報担当がワシントンポストに語ったところによると、WTC健康プログラムの登録者数は2017年以降大幅に増加。24年は新規登録者数が過去最高の1万人超を記録した。広報担当は「潜伏期間が長いがんやその他の重篤な疾患の増加は今後も続くと見込まれる」と述べている。
ニューヨーク市警察(NYPD)の退役警官ジョン・デヴィートさん(53)は、グラウンド・ゼロとフレッシュキルズで勤務。彼と他の警官たちは、マスクを着用せずに瓦礫のふるい分け作業をした。当時20代後半だった。
「ブルドーザーで瓦礫を広げさせたんだ」「俺たちは熊手でそれをかき分けながら進んだ」「誰もが安全だと言っていた」
デヴィートさんは20年3月13日に食道がんと診断され、食道と胃の一部を切除する前に6回の化学療法を受けた。
元NYPD警官のグレン・タラクィニオさん(62)は、同時多発テロ発生後の数日間「瓦礫の山」で作業に従事し、山積みの瓦礫からバケツで瓦礫を運び出した。20年に9/11関連の前立腺がんと診断された。
「時々バケツを覗くと、手や他の体の一部が見えたものだ」「その体の一部を、相応の尊厳をもって検視官事務所へ運んだ」
クリスティ・トッド・ホイットマン環境保護庁長官(当時)は「空気に問題はない」と断言したとタラクィニオさん。間もなくFEMA(連邦緊急事態管理庁)がN95マスクの箱を配布し始めた。
「マスクは1時間で真っ黒になったよ」
元矯正局緊急サービス部隊長フィル・リッツォさん(69)は、タワー崩壊直後に現場に到着し、瓦礫の山で数週間を過ごした。23年に頭頸部がんと診断された。
「灰が降り積もる様子はまるで雪が降っているようだった」「われわれは全く準備ができていなかった。作業用手袋と野球帽しか持っていなかった」
初日の終わりに、赤十字が彼らの目を洗浄し、リッツォさんたちの部隊は週7日、12時間勤務をこなしたという。
「常に体調管理を徹底し、規則正しく生活してきた」とリッツォさん。「あの現場で働いた者たちの大半が、少しずつ病に侵されているようだ」

「最初から最後まで約10か月間瓦礫の現場にいた」と、当時のことを振り返るニューヨーク市消防局(FDNY)の救急救命士イボンヌ・サンチェスさん(59)。13年に乳がんと診断された。乳がんの家族歴がないサンチェスさんだったが、3カ月でステージ1からステージ2に進行。両側乳房を切除した。
CDCの集計によれば、WTC健康プログラム登録者の死亡者数は今年3月27日時点で8215人。このうち5844人が救助隊員だった。9月6日時点で死亡した隊員3767人(うち消防士・救急隊員2388人)が、がんを患っていた。がんによる死者の総数は9/11同時多発テロで犠牲になった2977人を上回っている。
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