ワクチンは歴史上最も重要な科学的成果の一つであるにもかかわらず、近年は反ワクチン的な姿勢を示す政治指導者らが安全性に疑念を投げかけたことで、社会的論争の的となっている。そうした中、ワクチンが本来の標的疾患を予防するだけでなく、より広範な健康効果をもたらす可能性を示す研究成果が報告されている。ウォール・ストリート・ジャーナルが6日、伝えた。

ロバート・F・ケネディ・ジュニア保健福祉長官は、複数のワクチンの安全性に問題を提起し、保護者が子どもの接種を免除しやすくする制度改革を進めている。さらに連邦のワクチン諮問委員会は5日、新生児へのB型肝炎ワクチンの一律推奨を撤回するなど、反ワクチン色の強い判断も示された。こうした議論は主に小児ワクチンに向けられているが、一方で研究者たちは、成人向けワクチンが認知症予防やがん生存率の改善に役立つかについて科学的検証を進めている。
帯状疱疹ワクチンは、もともと水痘ウイルスの再活性化による帯状疱疹を防ぐためのものだが、最近の研究では接種した高齢者の認知症発症リスクが低いことが報告されている。また別の研究では、免疫療法中に新型コロナウイルス・ワクチンを接種したがん患者(ステージ3または4の肺がん・悪性黒色腫)は、未接種患者に比べ生存率が50%以上高かった。さらに、古くから使われている結核ワクチンであるカルメット・ゲラン菌(BCG)は、糖代謝経路の調整作用などを通じ、糖尿病治療やアルツハイマー病予防の可能性が指摘されている。加えて、現在も広く接種されている発展途上国の地域では、乳児死亡率の低下に寄与していることが実証されている。
もっとも、ワクチンを認知症予防やがん治療の手段として活用する段階にはまだ至っておらず、さらなる研究が必要だ。ただし、一部のワクチンで見られる強い副反応について過度に心配する必要はない。それらは、免疫システム全体を活性化させる身体の広範かつ非特異的な免疫反応であり、むしろ健康上の利益と関わる可能性もある。
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