サマータイム(Daylight Savung Time)とは、夏の間だけ時計を1時間早めて、太陽の出ている時間を有効に使う制度のこと。ロウソクを節約するために太陽が出ている時間に起床時間を合わせるアイデアは、1784年にアメリカ建国の父の一人で、その顔が100ドル札印刷されている、ベンジャミン・フランクリンが初めて提唱したといわれている。
国家として初めてサマータイムを導入したのは、第一次世界大戦中(1916年)のドイツとオーストリア=ハンガリー帝国で、石炭(エネルギー)節約が目的だった。その後、イギリスやフランス、アメリカなどにも広がっていった。

◆ サマータイムの仕組み
春になると時計を1時間進め、秋になったら元に戻す。
春:午前2時 → 午前3時に進める 秋:午前2時 → 午前1時に戻す
こうすることで、夏の間は夕方の時間が1時間長くなり、仕事や下校後の明るいうちに活動できるようになる。
◆ サマータイムを導入している国
現在、アメリカ、カナダ、ヨーロッパの多くの国、オーストラリアの一部地域などで導入。一方で、日本や韓国、中国ではサマータイムは実施していない。日本も過去に一度導入したことがあるが、体調への影響や混乱が多く、1950年代に廃止された。
◆ アメリカでサマータイムを導入していない州
ハワイ州
ハワイは1年を通して気候が温暖で、日照時間もほとんど変わらないため、サマータイムを導入する必要がないとされている。
アリゾナ州
アリゾナは夏の暑さが非常に厳しく、日没が遅くなるとかえって生活が不便になるとの理由で、サマータイムを採用していない。ただし、州の一部にある先住民族居留地、ナバホネーション(Navajo Nation) では例外的に実施している。
アメリカの海外領土
プエルトリコ、グアム、アメリカ領バージン諸島、北マリアナ諸島、アメリカ領サモアなど
◆ サマータイム廃止案も?
アメリカではサマータイム廃止を求める法案が何度も議会に提出されている。特に「一年中サマータイムを続けよう(permanent daylight saving time)」とする案もあり、2022年には上院で可決されたこともあるが、まだ全米的な実施には至っていない。トランプ大統領も、サマータイムではなく標準時(Standard Time)を年間通じて維持することを支持していると明らかにしている。
今年のサマータイム終了はいつ
2025年11月2日の午前2時(現地時間)にサマータイムが終了する。時計は1時間戻され、午前1時となり、正式に標準時が始まる。つまり、その日は1時間多く眠れるということだ。
今回のサマータイムは、2025年3月9日に始まり、およそ8か月ぶりに終了する。この後は、2026年3月8日に再びサマータイムが始まるまで、標準時が続く。
日本とアメリカ主要都市との時差(サマータイム終了後)
| 地域 | サマータイム中 (3月〜11月上旬) | サマータイム終了後 (11月〜3月) |
|---|---|---|
| ニューヨーク(東部時間) | −13時間 | −14時間 |
| シカゴ(中部時間) | −14時間 | −15時間 |
| デンバー(山岳時間) | −15時間 | −16時間 |
| ロサンゼルス(太平洋時間) | −16時間 | −17時間 |
| ハワイ(サマータイムなし) | −19時間(変わらず) | −19時間(変わらず) |
たとえば、サマータイム中は:東京が朝9時 → ニューヨークが 前日午後8時
冬になって、サマータイムが終わると:東京が朝9時 → ニューヨークが 前日午後7時
◆ サマータイムに適応できずに、「時差ボケ」を防ぐには?
1)サマータイム終了の数日前から、就寝時間を少しずつ遅くする。
2)屋外での活動を増やして、できるだけ日光を浴び、体内時計を整える。
3)昼寝は午後3時までに30分程度にとどめる。
4)カフェインやアルコールの摂取を控えめにする。
サマータイムは、「自然の光をできるだけ活かす」という、シンプルで合理的な考え方から生まれた制度。ただし、現代ではライフスタイルやエネルギー事情が変わり、「本当に必要なのか?」という議論も毎年のように続いている。いずれにしても、あまり「時間」にふりまわされずに、就寝・起床、食事、運動などの自分自身の規則正しい「時間帯」を大きく変えないことが重要。
文/Miki Takeda
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